一般社団法人 歯科筋筋膜セラピー協会

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「マッサージしても翌日には戻る」には理由があります

「マッサージや整体に行っても、その日しか効かない…」
その対策とは。

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「マッサージを受けると楽になる。でも翌日には戻る…」

みなさんも、患者さんからこういった言葉を一度は聞いた
ことがあるのではないでしょうか。

実はこれ、嘘でも錯覚でもありません。
きちんとした生理学的な理由がある、正確な体験談です。

今回は「なぜ戻るのか」「何をすれば戻りにくくなるのか」
を、一緒に整理していきます。

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01|痛みが起きるとき、筋肉の中で何が起きているか
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筋・筋膜の痛みには「筋膜トリガーポイント」
(=筋肉の中にできる、小さな"こり玉"のようなもの)
が関係しています。

このこり玉が活性化している状態では、筋肉の中の血の
巡りが悪くなり、ある物質が溜まっていきます。

▼ 痛みが強くなる仕組み(シンプル版)

🔁 筋肉が緊張しつづける
  噛み締め・悪い姿勢・ストレスなどが原因になりやすい

🩸 血の巡りが悪くなる
  収縮が続くと局所が低酸素状態になる

🧪 痛み物質が溜まる
  ブラジキニン・サブスタンスPなど
  (=痛みを引き起こす化学物質)が蓄積。
  局所が酸性になることも確認されている

⚡ 痛みが増幅・広がる
  神経が過敏になり、周囲にも痛みが波及しやすくなる

【研究でわかっていること】
活性型のトリガーポイントでは、痛みを引き起こす複数の
物質が周囲より高い濃度で検出され、局所pHの低下
(酸性化)も確認されています。(※1, 2)

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02|なぜ施術後に楽になり、そしてなぜ戻るのか
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マッサージ・ストレッチ・温熱・軽い運動は、いずれも
血の巡りを一時的に改善する作用があります。

巡りがよくなると、溜まっていた痛み物質が流れやすく
なります。これが「施術後に楽になる」の正体です。

では、なぜ戻るのか。

 「流す」ことはできる。
 でも「溜まりにくくする」ところまでは届いていない。

筋肉の緊張そのものが残っていれば、血流改善が終われば
同じ状態に戻ります。

これは施術者の技量の問題ではなく、介入の性質の問題です。
患者さんに誠実に説明するための文脈として、ぜひ活用
してください。

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03|「借金」で考えると、患者さんに伝わりやすい
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痛みを「借金」に例えると、こんなふうに整理できます。

▲ 利息(痛みの原因)
 ・噛み締め・くいしばり
 ・悪い姿勢・長時間座位
 ・慢性的なストレス
 ・運動不足・睡眠不足

▼ 返済(セルフケア)
 ・セルフストレッチ
 ・呼吸・リラクゼーション
 ・姿勢意識の習慣化
 ・適度な体を動かす習慣

利息だけ払い続けて(施術だけ受けて)、返済をしなければ
借金は減りません。

来院される方の多くは、「返済方法を知らなかった人」です。

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04|「自分で体を変えていける」という感覚が、
  じつは一番の薬
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慢性的な痛みの研究では、「疼痛セルフ・エフィカシー」
(=「痛みがあっても、自分で対処できる」という自信)
が高い人ほど、痛みが軽く、日常生活の制限も少ない
ことがわかっています。

逆にいえば、「どうせよくならない」「先生に任せるしかない」
という気持ちが強い人ほど、回復が遅れやすい。

これは精神論ではなく、複数の研究で裏付けられた事実です。

【研究でわかっていること】
セルフ・エフィカシーが高い人は、痛みの程度・身体機能の
低下・抑うつ症状のいずれも軽く、身体活動への継続率も
高いことが報告されています。
この自信は、運動療法・心理的アプローチ・複合的な介入
によって高められることも示されています。(※3, 4)

患者さんに「自分で整え続けられる」という体験を積み重ねて
もらうことが、長期的な改善につながります。

施術者の役割は、その最初の一歩を一緒に踏み出すこと
でもあります。

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05|「正しい運動」より、「続けられる運動」の方が大事
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「どの運動が一番効果的か」は研究者の間でも議論が続いて
いますが、一方でこんなことがわかってきています。

I. 種類より「楽しいかどうか」
  慢性痛の運動療法において、特定の種類が他より絶対的
  に優れているという根拠は現状乏しく、患者が楽しめる・
  好みの運動を選ぶことが継続の観点から重要とされています。
  (※5)

II. 「気持ちいい・覚えやすい・続けやすい」が三拍子
  個人の好みに合わせてプログラムを調整することで
  継続率が上がるという報告が複数あります。(※6)

III. 患者さん自身が選ぶ、という体験が大切
  治療プログラムに患者自身の希望を反映させることが
  継続率の改善に寄与するとされています。(※7)

シカキンセラピーが「続けられるセルフケア」を重視して
いるのは、こうした背景があるからです。

歯ぎしり・くいしばり・顎関節症・姿勢の問題も、
「その場だけ楽になる」ではなく、自分で整え続けられること
が本当の意味での改善につながります。

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シカキン協会について
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歯科医院が、セルフケアを一緒に作っていける場所になれる
としたら。

施術で「流す」だけでなく、患者さんが自分でケアを続け
られるよう伴走できる専門職——
その役割を担うのが、シカキンメンバーの皆さんです。

オーラルフレイルは、全身フレイルの予兆として最初に現れる
サインであることがわかっています。

だからこそ健康な人が定期的に通う歯科医院が、予防の最前線
になる。

その役割を形にしているのがシカキン協会です。

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▶ シカキンセラピーについて詳しく見る
🔵マネジメントドクター
https://home.tsuku2.jp/f/0000281106/doctor
🔴シカキンセラピスト
https://home.tsuku2.jp/f/0000281106/therapist
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【参考文献】
※1 Fernández-de-las-Peñas C, et al. Cephalalgia. 2007;27(4):383–393.
※2 Jafri MS. Int Sch Res Notices. 2014;523924.
※3 Louw A, et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2021;51(11):535–547.
※4 Yang J, et al. Pain Res Manag. 2022;4276175.
※5 Heidari J, et al. German Journal of Sports Medicine. 2022;73(3).
※6 Sánchez-Sabater A, et al. J Clin Med. 2025;14(17):6251.
※7 Sánchez-Sabater A, et al. PMC. 2025.

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