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鶸色(ひわいろ)の新緑と、祖母が教えてくれた「透き通る色」
こんにちは、
先日、群馬県の
榛名(はるな)神社に行ってきました。
もともとは、
三峯神社か諏訪大社に行く予定だったんです。
どちらも大好きな場所ですが、その日はなぜか
「今日は、あっち(榛名)な気がする」
と感じて…。
直感に従い、行き先を変更して向かいました。
神社付近は名残の桜がまだ美しく、
その横では新緑の若葉が光を通し、
やさしい鶸色(ひわいろ)に輝いていました。
足元には可憐なすみれ。
少し歩くと、艶やかなシャクナゲ。
そして、名前は思い出せないけれど、
白くて三角の、三つの花びらを持つ不思議な花。
榛名神社の社殿は、
巨大な岩に寄り添うように建てられています。
岩そのものが神格化されているその場所は、
ただそこにある自然に、
人がそっと「合わせた」ような在り方でした。
岩も、水も、木も、
すべてに“いのち”が宿っている。
どこかに遠い神様がいるのではなく、
もうすでに、ここにある。
それは、
森羅万象に対する
日本の古くて深い信仰そのものでした。
「お願い」をするのではなく、
すでにあるものに気づく。
「変わろう」とするのではなく、
もともとの自分に戻る。
あの日の私は、
神社にお参りに行ったというよりも、
自然とつながる「自分に合う場所」に、
そっと導かれていたような気がします。
*
ところで、
花たちの不思議な変化に気づきました。
シャクナゲは、咲き終わりに近づくと、
鮮やかなピンクが
だんだん白っぽく透き通っていきます。
それだけでも
「きれいだなぁ」と思ったのですが、
あの白い三角の花は、終わりが近づくと
ほんのりやさしいピンク色に染まっていくのです。
どちらも、いちばん鮮やかなときではなく、
終わりに向かうその途中で、よりやわらかく、
よりやさしい色になっていく。
その光景を見て、
ふと思い出したことがあります。
結核がまだ「治らない病気」だった頃、
亡くなる直前の人は、
肌が透けるように美しくなる……。
かつて、祖母がそう話してくれたことを。
日本画家だった祖母は、
色の移ろいにとても敏感な人でした。
命が消えていくことの悲しさというよりも、
その中にある「かすかな光」のようなものを、
じっと見つめていたのかもしれません。
小さかった私は、祖母の話を
「怖い」というよりも、どこか静かで
荘厳なものとして受け止めていました。
消えていくというよりも、
何かが整えられていくような。
にじむように、やさしくなっていくような。
*
今の自分に、
何かが足りないわけじゃない。
どこか遠くへ、
何かを足しに行く必要もない。
ただ、自分に合う場所に身を置き、
内なる宇宙を静かに整えてあげるだけでいい。
そんな「魂のお散歩」の時間を、
これからも大切にしていきたいなと思います。
あなたにとって、
今「一番しっくりくる場所」は
どこですか?