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空を見上げるとき

こんにちは。
いつもメルマガを読んでくださって、ありがとうございます。

11月も半ばを過ぎ、
夜空の星がひときわきれいに見える季節になりましたね。

昔(!)部活帰りに、ふと空を見上げて、
「この星空を、古代エジプトの人々も眺めていたんだな」
そんなことを思った瞬間もありました。
メルマガにも書いたように、彼らは夜空を神聖なものとして、
死後の世界を信じ、太陽神に祈りを捧げていた人々。
私たちとはまったく違う世界観を持ちながらも、
同じ空を見上げていたのだと思うと、不思議なつながりを感じます。


夜空で瞬く星たち。
それは、もう何万年も前に燃え尽きた星の光かもしれない。
そう聞いたとき、私たちが見ている星は「過去の光」だと知って、
なんともいえない宇宙への感情が生まれました。
存在しない星の光に、遥か古代の人々の想いを重ねると、
「同じものを見ている」という気持ちが、時を越えさせてくれる。


そして、この「星」にまつわる話で、私が必ず思い出す場面…
以前のメルマガでも触れた、大好きな『星の王子さま』の一節。
「夜になったら星をながめておくれよ。」
「星がみんなきみの友達になるわけさ」
この一連の言葉が、たまらなく心に響きます。
そして
「人間はみんな、ちがった目で星を見てるんだ。」
という言葉を含む数ページ…
ホント、好き!


でも、空を見て「怖い」と感じた人もいます。
中2の美術の授業で作品の参考資料をしていた男子が
ポツリと私に言ったんです。
「空って、なんか怖い」
すぐに私は聞きました。
「海も怖い?」
すると彼はうなづき、
二人で「底が見えないから!」と言って
クスッと笑いあったんです!
その後、こわい話で盛り上がっちゃいました

私にも思い当たる体験があったんです。
青森の海で、娘の浮き輪につかまりながら、
水面から海の深い底をのぞきこんだとき、ぞっとしたんです。
私は高所恐怖症ではありませんが
きっとこんな感覚なんだろうと、
チョットわかった気がした瞬間でした。


空も、海と同じように「果てが見えない」からこそ、
時に私たちは、不安や“こわさ”を感じるのかもしれません。


空=広くて自由=気持ちいい、という前提がある中で、
「こわい」と感じる感受性に気づくこと。
それは、自分の感性に正直であることの証かもしれません。
夜空を見て不安になる。
海をのぞいて、足がすくむ。
そんな感情に共感できる人は、実はたくさんいるのだと思います。


でも、やっぱり私は空を見上げる
空はただの風景ではなく、
心の奥にある長い時間の「今を、生きている」という
実感をくれる気がするのです。

母がくれたレコード、
星の王子さまの言葉、
中学生の素直な一言。
人から受け取った感性のかけらたちが、
私の世界を少しずつ広げ、
星空の見え方を変えてくれました。


あなたにとって、この世界の見方を変えてくれた「星」のような存在は、なんですか?

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
また来週も、どうぞよろしくお願いいたします。

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