德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.63「“お米が高い”は悪いこと?​ ー本当の理由をお話しします」

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」
五ツ星お米マイスター・Prof. 德永善也が
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる “お米のあれこれ” をお届けします。

10月も後半、新米の季節も一段落しつつありますが、
お店では「今年の米、高くなったね」「どうしてこんなに上がるの?」と
日々たくさんの声をいただいています。

さて今回は、いつもの炊飯テクニックや食文化のお話ではなく、
「お米と政治・経済の今」について、少し真面目なお話をさせてください。

今回のテーマは、「“お米が高い”は悪いこと? ー本当の理由をお話しします」

■ 新政権と、新しい農水大臣

10月21日、日本の政治が高市政権に替わり、
農林水産大臣も小泉氏から鈴木憲和氏(山形出身・43歳)へと交代しました。
この若き大臣が、いまの疲弊した農業・農村をどう支えていくのか。
同じ「農」に関わる者として、私はとても注目しています。
記者会見では、「お米の高騰対策として『おこめ券』の発行も視野に入れている」との発言がありました。

■ 米価2倍は、本当に“高すぎる”のか?

お米の価格は、この2年間でおよそ2倍になりました。
これは消費者にとっては衝撃かもしれません。
しかしその背景には、以下のような深刻な生産現場の実情があります。

・肥料や燃料価格の高騰
・人件費の上昇
・後継者不足と人手不足
・中山間地域での耕作放棄地の増加

つまり、生産コストは年々上がり続ける一方で、「米価はずっと据え置き」だったのがここ数十年の実態です。
ようやく生産者が適正な価格で出荷できるようになった。
それが、現在の「高騰」に見える部分もあるのです。

■ 安さがすべて?その陰で…

米屋を営む私が心を痛めているのは、
米を“自由に選べない層”が確実に増えていることです。
たとえば…
・年金で暮らす高齢のご夫婦
・子育て真っ最中のご家庭
・ひとり親家庭や生活保護世帯

こうした方々にとって、今のお米の価格は重くのしかかります。
「好きなお米を選べなくなった」という声も少なくありません。

■ 私は「おこめ券」に賛成です

米価が下がることで、生産者がまた疲弊してしまうのは本末転倒です。
だからこそ、米価は極端に下げず、
生活者が無理なくお米を買える環境をつくることが必要です。

たとえば
紙の「おこめ券」でも、
スマホで使えるデジタル食券でも、

生活者支援と消費促進の両立ができるのではないでしょうか。
米を「贅沢品」にしないために、制度的な手当てが必要です。

■ そして、今後の動向は…

今年の作況を見てみると、

 西日本は豊作基調
 東日本も前年並み
 輸入米と備蓄米も加わり、

市場には在庫が豊富な状況です。

その影響で、すでに米価は下落傾向にあります。
また、本日10月28日には農林水産省から作物統計が発表され、田の耕地面積は前年比で1.9万ha(0.8%)の減少。
過去10年では約5%の減少ですが、それでもまだ農家が踏ん張って面積を維持・拡大しようとする努力も感じられます。

■ 令和7年産、正念場

令和7年産のお米は、今後の流通・価格・政策次第で
「価格が暴落するか」「支えられるか」が分かれる節目になるでしょう。

若い鈴木農水大臣のもと、どのような農業政策が進むのか。
お米に関わる者として、そして日本人として、しっかり注視していきたいと思います。

今回は、少し硬い内容になりましたが、
お米の未来をともに考える一助となれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は少し硬い内容でしたが、読者のみなさまはどう感じられたでしょうか?
ご感想やご意見など、ぜひお聞かせください。次回のテーマに活かしてまいります。



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