德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.61『浸漬について読者の質問に答える【浸漬】​さらに・・・その4』

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスター・Prof. 德永善也が
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ” をお届けします。

おかげさまで最近メルマガ読者から「いつも読んでるよ!」とお声がけ頂けることが多くなりました。
実はこのメルマガはお米の専門家や同業者の登録も多いようで、ツクツクの仕組み上、人物は特定できないのですが、専門家からのご意見、ご感想を頂くことがあります。

私は前回の配信No.60『新米の炊き方—私の方法【浸漬】その3』の話題の中で、『私の炊き方』【方法2:前炊き機能を活かすとき】に、炊飯前にタイマーで15分置いてから前炊き機能を利用して炊飯する、と書きました。
さっそく知り合いの炊飯の専門家から、「私は20分後にスタートがベスト(だと思う)。お米と水と炊飯器の温度をなじませてからスタートさせるためです。・・・」とメッセージを頂きました。
とても勉強になります。今度から15分を20分にしよう、と思いましたし、”お米と水と炊飯器の温度をなじませる”という考え方・方法で、より炊飯器の機能が存分に発揮できるようです。

そして前回の話題をそのままに、もうひとつよく聞かれる質問に答えたいと思います。

今回のテーマは、『浸漬について読者の質問に答える【浸漬】さらに・・・その4』です。

よくある質問:前日の晩から浸漬していいの?

Q. お米は前日の晩から研いで水に漬けておき、翌朝炊飯タイマーで炊いてもいいですか?

A. もちろんアリです。 毎日の炊飯は生活そのもの。ここに「ダメ出し」をするのは間違い。毎日炊いて食べている貴方が正しいのです。

実は我が家もそうです。
前日の夜、夕食を終えた後食器を片付け、お米を研いでタイマーをセットしてから〜の就寝。
翌日の朝、布団の中で炊飯器の炊けたよ〜の合図「ピーー」という音を聞いて、そそくさと布団を抜け出し、炊飯器のフタを開けてごはんをほぐす。
湯気がブワーッと立ちのぼり、お腹がグーとなりだす。
とりあえずしゃもじでごはんをすくって、指でつまんで一口・・炊き立てのごはんを口にほうりこむと一日が始まる。

私が解説する方法は”ビジネス炊飯”(笑)なので、丁寧に手が込んでいますが、実際の生活はこんなものです。

ただし!それは美味しいお米の炊き方ですか?と聞かれると、やはりきちんとお答えしなければいけません。
こういった答えは研究の対象になることが少ないので、私の私見も含めてお答えします。
(専門家のご意見もお待ちしております)

前日の晩から炊飯をタイマーセットして、翌日朝に炊ける方法ですが、
「美味しさ」という点では、少し落ちるように感じます。

少しごはんの弾力に欠けて、ツヤも若干少なく、ごはんが柔らかく潰れているように感じることさえあります。

お米は水に漬けると、吸水を始めます。
飽和吸水といって、これ以上お米が水を吸えないよー、という段階までは約2時間。
6時間以上置くと、すでにお米は「飽和吸水」に達しています。
次にお米の表面に露出している米デンプンが溶け出て浮遊し、リンやカリウムも溶け出して釜底に沈みます。

溶け出した米デンプンは加熱され、糊化して再び米粒表面に付着し、ツヤを醸し出す保水膜として形成されるのですが、水分を多く含んだ米デンプンは余計なベタつきにもなって、お米のツヤを消します。
そして、ごはんの弾力や粒の張りも弱まってしまいます。

とはいえ、毎日の食卓に寄り添う炊き方としては「前夜浸漬+朝炊飯」でもまったく問題ありません。

ちなみに余談ですが、約30年前お米のアレルギー研究に関わっていたときに、Ⅱ型糖尿病による腎臓機能低下でリン、カリウムを摂取制限しなければならない患者さんに対して、病院栄養士と一緒に「リン・カリウムを減らす工夫」を調査しました。

結論は、浸漬後にザルで水を切り、炊飯時には新しい水を使うこと。これでリンやカリウムを低減できるのです。
身近に腎機能に不安のある方がいらっしゃれば、ぜひ参考にしてください。

今回はお話が長くなりましたが、浸漬は、お米の味を左右する大事な工程、ということを理解して頂けたでしょうか。
ごはんの感じ方に正解はありません。
毎日ごはんが美味しい!と思えたら、それが正解です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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