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アルベルゴッティ伯爵家サロン shinjudo@nisiq.net
アルベルゴッティ伯爵家サロン
アルベルゴッティ伯爵家のサロンは長い歴史を刻んで来た空気感の中で、その爵位を感じさせる重厚でしかも落ち着いたものでした。壁の絵画は部屋の奥行きをより感じさせ、天井から掛かるシャンデリアはとても豪華で部屋全体を明るい光で包み込むようでした。イタリアでは公式には貴族制度は廃止されているとはいえ、隅々まで磨き上げられたサロンは一千年以上続く貴族の風格を感じさせるものでした。
アルベルゴッティ家の概要
起源と歴史
アルベルゴッティ家は古代ゲルマン系の家系で、870年頃、初代のテバルド・アルベルゴッティ(Tebaldo Albergotti)が皇帝に仕えアレッツォに定住したのが始まりとされています。
その後、この家系はカステッロ(城塞)を多数所有し、カシネントのトッポレ城、アルジャーノ城、カステルヌオーヴォ城などの領主として繁栄しました。
政治・宗教への関与
アレッツォにおいて、アルベルゴッティ家はグエルフォ派(教皇側)を代表する有力な家系で、有力な政治・軍事勢力でした。他の重要なグエルフォ家と並び、都市の支配に大きな影響力を持っていました。
教会でも影響力を発揮し、三人の家出身の司教が務めています:
ジョヴァンニ I(1371–1375年)
ジョヴァンニ II(1375–1390年)─ 対グエルフォ派勢力とし
て、フィレンツェ支配を目論み、一時国外に逃れたことも。
アゴスティーノ(1802–1825年)
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著名な人物
フランチェスコ・アルベルゴッティ(Francesco Albergotti, 1304–1376):中世を代表する法学者。「solidae veritatis doctor(堅固な真理の博士)」と称され、法律学の著作も多数残しています。
フランソワ・ゼノベ・フィリップ・アルベルゴッティ(François Zénobe Philippe Albergotti, 1654–1717):トスカーナ出身で、フランス王ルイ14世の下で軍務に服した高位将軍。数々の戦争で活躍しました。
マルチェッリーノ・アルベルゴッティ・ベルトラーミ(Marcellino Albergotti Beltrami):13世紀にアスコリ・ピチェーノ及びアレッツォ司教を歴任し、反皇帝派として知られています。
文化的・建築的遺産
アレッツォには、家系の繁栄を象徴する「パラッツォ・アルベルゴッティ」が存在します。ネオクラシック様式の壮麗な建築で、「彫像の宮殿(Palazzo delle Statue)」とも呼ばれています。
現在この建物はイタリア文化省の保護機関、環境・建築・芸術遺産監督局(Soprintendenza)の所在地となっており、一部の内部(たとえば庭園など)が見学可能です。
また、家系の文書や歴史的記録はアレッツォ州立公文書館(Archivio di Stato di Arezzo)に保存され、1699年や1712年には初期の目録が作成されました。さらに、19世紀にはアントニオ・アルベルゴッティ(Antonio Albergotti, 1758–1841)が詳細に整理し、1835年には索引つきの目録を完成させました。