德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.60『新米の炊き方—私の方法【浸漬】​その3』

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスター・Prof. 德永善也が
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ” をお届けします。

今回はいきなり本題に入ります。
今回のテーマも、『新米の炊き方—私の方法【浸漬】その3』
いつまでやっとるねん!と言われそうですが、浸漬はそのくらい重要な話題です。

昨日の朝のTV番組で秋の季節の食べ物の保管や工夫を紹介するコーナーで、
「新米は浸漬が必要か?」と街頭アンケートを行う話題が放送されていました。

お米の専門家(一応友人です)が登場し、答えは「不要です」でした。
「新米は浸漬させると柔らかくなりすぎる。そして、今の炊飯器には「浸漬機能」が既に含まれているため」と答えていました。

私はその答えに反対です。

新米は乾燥ムラがあるため浸漬が有効です。
田んぼで収穫された時点では、お米の水分は25%前後(天候経過によって高かったり、低かったりします)。
それを乾燥施設でお米を長期保管できるように15%まで乾燥させます。
タンクの中で循環させて温風や風などを送って乾燥させるのですが、このときにタンクの上下、お米の粒ぞろいの違い、青米などの混入により一粒一粒の含有水分が変わります。

低温庫などで保管しているうちに、米粒の水分が移動し全体として安定してくるのですが、新米の時期はまだそれが不十分な状態。
つまり乾燥が進んでいる米とまだ少し含有水分が高い米が共存しているのですが、それをあまり浸漬させないで炊くと、ご飯粒が柔らかかったり硬かったり、食感が均一ではない感じがすることもあります。

そういった理由から、ある程度水に漬けて米粒の内の水分を一定にさせる必要があると思うのです。

そして、今の炊飯器には「浸漬機能」が既に含まれている、ということなのですが、
これは「前炊き」という機能です。
いま売られているIH炊飯器(ピーとなるタイプ)は、「前炊き」機能が含まれています。

炊飯器のスイッチを押すと「56分」(例:パナソニック社おどり炊き「銀シャリモード」)と表示されるのを見たことがあるかもしれません。
他のメーカーでも時間は微妙に違いますが約1時間を要します。
この場合、ほとんど「前炊き」機能が含まれています。

この前炊き機能は、“温湯”浸漬を意味します。
スイッチを入れると約15分〜20分の間、釜内の温度を約50℃くらいまで上昇させます。
こうすることで、お米に含まれる酵素活性(アミラーゼ、グルコシダーゼ等)が活発になり、お米の甘みやうま味を引き出してくれます。
この酵素たちが一番働く温度(至適温度)は、酵素の種類によって違いますが40℃〜60℃。

つまり、洗米して炊飯器に内釜をセットしてスイッチを入れると、釜内の温度が上昇し始め前炊きが始まります。
そしてお米の美味しさを一番引き出すように仕組まれているのです。

お気づきになった方も多いかもしれませんが、冷たい水を入れるとか、氷を入れるとか、この場合は意味がありません。

釜内の温度を上昇させてある一定の時間が経過したら、加熱モードに入り沸騰して米デンプンが糊化し、ごはんが炊き上がります。

『私の炊き方』
仕事柄たくさんの種類のお米を食べることが多いのですが、このときの私の炊飯方法です。

方法1:じっくり試したいとき
新米の試し炊きでは、常温の水に1時間浸漬 → 炊飯器の普通モードを利用します。
こうすると、新米の特徴(硬さ・甘み・粘り)がシンプルによくわかります。

方法2:前炊き機能を活かすとき
炊飯器の「前炊き」は約15分ほど(スイッチを入れてから1時間程度を要するモードの場合)。
ぬるま湯または常温の水で釜をセットし、タイマーで15分計ります。
15分経過したら炊飯器のスイッチをONにします。
合計30分浸漬させるのが私の定番です。

方法3:急ぎたいとき
30℃前後のぬるま湯を使って、すぐにスイッチオン。
「前炊き」機能も加わって水の浸透が早まり、酵素もよく働きます。
(粒感のしっかりしたごはんが炊き上がります)
いずれの方法でも「お米にしっかり水分を含ませる」ことが一番大切です。
ぜひご家庭で試してみて、ご自身の“ベスト浸漬”を見つけてください。


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