德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.59『新米の炊き方—私の方法【浸漬】』

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスター・Prof. 德永善也が
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ” をお届けします。

令和7年産の新米が少しずつ店頭に並び始めました。
その一方で気になるニュースも。
大阪港にはアメリカからの輸入米が続々と到着し、荷揚げが渋滞しているとの情報があります。
「輸入量が昨年比2000倍」との報道もありますが、もともと輸入量が少なかったための数字のマジック。
実際は、国内の在庫と合わせれば輸入に頼らずとも十分な量があるとも分析されています。これからの作柄発表に注目です。

そして、米業者の中には資金繰りや在庫の問題から新米の入荷を見合わせるところも出ており、価格が高止まりする一方で「本当に米が余るのでは?」という懸念も。高すぎても安すぎても社会に影響があり、改めて「価格のバランスの難しさ」を感じます。

今回のテーマ
『新米の炊き方―私の方法【浸漬】』

多くの方は「浸漬=時間がかかる」と敬遠しがちです。
最近の炊飯器は浸漬時間を自動で組み込んでいるため「不要」と説明されることもありますが、実際には炊飯器の研究者も浸漬の大切さを理解しており、炊飯器の内部で工夫を凝らしているのです。

浸漬は、ごはんの美味しさを大きく左右します。
私が「浸漬は必要」と考える理由は次の通りです。

1.熱伝導
  中心部まで水がしっかり浸透することで、熱が均一に伝わり炊き上がりがふっくら。

2.酵素の働き
  細胞壁分解酵素が作用し、水がじんわり浸透。口あたりが柔らかに。

3.旨みの引き出し
  お米に含まれる酵素ーアミラーゼやグルコシダーゼが働き、炊き上がりの甘み、旨みが一段と豊かに。

4.ひび割れ補修
   水を含むことで割れた粒が崩れにくくなり、粒立ちのよいごはんに。

よくある質問です。

Q:浸漬は冷水や氷水で行った方がいいの?

A:基本的に冷たい水でなくても大丈夫です。

研究データによれば、5℃の冷水で浸漬した場合、2時間後の含水率は常温(20〜30℃)よりも若干高まります(2〜3%程度)。ただし短時間(1時間程度)では逆に浸透が遅くなることも。むしろ常温の水の方がお米は水をよく吸います。(※)

ただし注意点も。
真夏の本州のように水道水が30℃を超える場合、数時間も浸けておくと菌が増えやすくなります。そうした環境では、冷蔵庫に入れる・氷を加えるなどの工夫が必要です。
一方で北海道の水温であれば、そこまで心配はいりません。

今回は浸漬の基本をお伝えしました。
次回は「私が実際に行っているちょっとした浸漬の工夫」について、具体的にご紹介しますのでお楽しみに。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※参考文献:坂本薫 他 , 炊飯における温水浸漬と低温浸漬が米の吸水率に与える影響 , 日本調理科学会誌 48(3),193~199 , 2015〔資料〕



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