ツリーベル教育研究所  【すーさんの学校】

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156【すーさんの学校】日本人が持っている精神をつなぐ

 日本マクロドナルド社長だった原田泳幸さんが経験した昔々のお話しです。
その日、原田さんは、その時働いていた会社の外国人数名と一緒に神宮球場に野球観戦に出かけました。
一緒に観戦しにやってきた外国人の一人を、プロ野球選手と間違えて、子どもたちが寄ってきました。
子どもたちのはしゃぎに嬉しくなった彼は、財布を開けて子どもたちにお小遣いを配り始めました。
 子どもたちは最初とまどい、近くにいた親の顔を見ていました。
原田さんが保護者に事情を説明すると子どもたちは「ありがとう」と言って、お金を受け取って、売店に行って買い物をしました。
 買い物が終わった子どもたちは、その外国人のところに帰ってきて、「おつり」を返し、丁寧に一人ずつお礼を言っていました。
 不思議な話ではないかもしれませんが、このお小遣いを渡し、「おつり」を返してもらった彼は、とても驚いていました。
アメリカでは、もらった小遣いは全額もらい、おつりを返すことは考えられないのだそうです。
 この話、言われてみれば、今の子どもたちはどうなのでしょう。
ちゃんとおつりを返すのでしょうか。
親が、勝手に判断して、返すべきおつりを「いいから、もらっておきなさい」とか言っているのではないでしょうか。
 この子どもたちのとった行動が、完璧と言うわけではないと思いますが、日本人には、正直さ、律儀さをはじめとする「心」を大切にするという、思いやりの精神を持った文化が根付いているはずです。
 この「心」を大切にする文化は、日頃の生活の中で自然に培われてきたはずなのです。
親の躾けや親の教育のしめる割合が非常に大きいと思います。
そんな経験させてくれるところが、家族の中や身の周りにたくさんあるからです。
しかし、今はそのような経験をすることが少なくなっているように思います。
 「おつり」を返すというのは、当たり前の事だと思うかもしれないが、中には、小遣いをもらったのだから、「おつり」は返さないくてもいいというのが、当たり前と思っている人もいると思います。
 だからこそ、心が大事なのです。
つまり、お小遣いをくれた人の気持ちを考えるということです。
お小遣いをくれた人が、「おつり」を返してもらうのを当たり前とか、そうではないと思っているかは、別にして、買い物をした子どもは「おつり」を持ってきて、「ありがとうございました」とお礼を言うのは、当たり前のことだと思います。
そこで、お小遣いを渡した人が、「おつり」をそのままあげるのか、返してもらうかを判断するのです。
 日本の素晴らしい文化や心は、日常生活の中にあふれています。
しかし、この当たり前に思っている日本人としての心が、知らないあいだに、薄れてきている気がします。
 原田さん言っています。
「世界を相手にして働くために、日本人が持っている精神を活かしなさい。
そして、日本の心を私たち大人が、しっかりと伝えなければならない」と・・・。


  

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