AbiアートLab|感じる力を育むアートの実験室|神奈川県逗子

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「今すぐちゃん」と非常ベルと、私の中の“妖怪”の記憶

今回は、少しだけ私の子どもの頃の思い出をお話しさせてください。
私は小さい頃、とても行動がのんびりしていて、
いつも「早くしなさい!」と急かされていました。
そんな私に、母がつけたあだ名が「今すぐちゃん」。
「今すぐやります!」「今すぐ行きます!」――
返事だけは元気いっぱいだったからです(笑)
でもね、そんな“のんびりっ子”の私が、
なぜか「やっちゃダメ!」と言われたことだけは、
**“今すぐやる”**んです。

ある日、母がこう言いました。
「このボタンは、絶対に押しちゃダメよ、この非常ベルだから」
…その瞬間、私は迷わず――ポチッ。
大きなベルの音が鳴り響き、母の顔は鬼の形相に!
当然、叱られました。
でも、その叱られ方がちょっと独特だったんです。
「どの手がやったの?やった手を出しなさい」
私は、言われたとおりに手を差し出し、叩かれました。
そして、ふと思ったんです。
「悪いのは私じゃなくて、この手だ」って(笑)

この感覚、長い間すっかり忘れていました。
でも、“妖怪グルグルアート”を考えていたある日、
ふとよみがえってきたんです。


今になって思えば、これは
**自分の中の問題を、
自分自身とは少し距離をおいて見ようとする
“心の働き”**だったのかもしれません。

そう、まさにこれは、
**ナラティブセラピーで言う「外在化」**という考え方そのもの。
自分の中にある感情や行動の“理由”を、
まるで他のキャラクター――たとえば“妖怪”のように見立てることで、
責めるのではなく、やさしく見つめ直すことができるのです。

次回のメルマガでは、この「手」のエピソードがどう“妖怪”に変わっていったのか、
そして、それが親子の会話にどう役立つのかをお話しします。
“ネガティブ”を笑いに変える、小さな魔法。
どうぞ、お楽しみに♪

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