德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.51『メルマガ読者の質問から〜土鍋でごはんを炊く』

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスター・Prof. 德永善也が
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ”をお届けします。

政府の判断で「備蓄米販売」の期限が、当初の8月31日からさらに1か月延長されることになりました。
全国で新米が出回る直前ですが、すでに玄米取引は過去最高値で推移しています。しかもこの価格は「備蓄米が市場に無い」ことを前提に形成されているため、今後の動向はますます読みにくくなってきました。

備蓄米はいつか必ず市場から姿を消します。
その後の価格変動や政府の対応がどう変わるのか、私たち米屋にとっては緊張が続く毎日です。
そしてこれは、お客様にとっても「秋にどんな新米を選ぶか」に直結する大切なニュースです。

さて、今日はメルマガ読者 “おちゃりん” さんからいただいたご質問をご紹介します。
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最近、新しい土鍋を購入してご飯を炊いています。
説明書には「しっかり沸騰後に火を止め、そのまま20分蒸らす」と書いてありました。
美味しいのですが、あと一歩何かが足りない気がします。
以前は「沸騰後に弱火で13〜15分、蒸らす」という方法でした。
鍋によって炊き方を変えた方が良いのでしょうか?
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“おちゃりん”さん、素晴らしいこだわりですね!
新しい土鍋で「もっと美味しく炊きたい」と挑戦されている様子が伝わってきます。

私の考えでは、土鍋ごとの炊き方マニュアルも大事ですが、基本は火加減と時間の調整です。

【土鍋炊飯の基本ステップ】

① 弱火〜中火で約10分ほどかけてじっくり沸騰させます。
  [理由]じっくり温度を上昇させ、酵素が活性することで甘みを引き出します。

② 弱火〜極弱火で沸騰を約15分程度保ちます。(焦げてしまわないように火加減に注意です)
  [理由]米が水を吸いデンプンが糊化する大切な時間です。時間が短いと水っぽくなり、長すぎると焦げるか、極度に柔らかくなります。

③ 火を止めて10分〜15分蒸らします。(土鍋の余熱で蒸らします)
  [理由]糊化したデンプンとそれを包む細胞壁がなじんでくる時間が必要です。短いと水っぽく、長いと弾力が無くなります。

このとき、土鍋の厚みや形状によって「どれくらい沸騰を維持できるか」が変わるため、火加減は微調整が必要です。

土鍋のフタから立ちのぼる湯気や、コトコトと小さな泡が立つ音を感じながら調整してみてください。
きっと“自分の土鍋に合った炊き方”が見つかると思います。

土鍋炊飯の魅力は「音・香り・湯気」まで楽しめることです。
説明書の通りに炊くだけでなく、ぜひ自分の舌と五感で確かめながら“ベストの炊き方”を探してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

〔参考文献〕
・馬橋由佳ら「炊飯の温度履歴が米飯の化学成分に及ぼす影響」日本調理科学会誌, 40(5), 323-328 (2007)
・貝沼やすこ・関千恵子「米の調理に関する研究(第3報)」家政学雑誌, 34(11), (1983)
・関千恵子・貝沼やすこ「米の調理に関する研究(第4報)」家政学雑誌, 37(2), (1986)



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