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メルマガお米炊飯研究所 配信No.34『なぜ、米価はここまで上がったのか?価格高騰の背景を追う』
「もっとお米のこと、知ってみませんか?」
五ツ星お米マイスター Prof. 德永善也が、
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ”をお届けします。
今回のテーマ:「なぜ、米価はここまで上がったのか?価格高騰の背景を追う」です。
いま世の中では「備蓄米ブーム」ともいえる現象が起きており、テレビでは「案外美味しい」といった声が紹介されています。
ですが、実際に食べてみた米屋仲間の感想は「やはり古米の味」。感じ方は人それぞれとはいえ、現場の私たちは少し違う印象を持っています。
炊き方にも工夫が必要ですね。
では、そもそもお米の価格はいつから、なぜ上がってしまったのか?
【価格上昇の始まりはいつだったか?】
実は2023年産の米は、昨年夏前からすでに値上がりの兆しを見せていました。
猛暑の影響もあり、収量の減少が懸念されるなか、私たちも追加注文ができず「新米を待とう」という雰囲気が漂っていたのです。
そして、追い打ちをかけたのが8月の「日向灘地震」。
これを機に市場は一気に過熱し、秋を待たずに在庫不足が表面化したのです。
【常識を超えた価格競争の現場】
私の記憶では、2023年7月ごろから急激な値上がりが始まりました。
北海道各地には「本州の大手商社」が次々と高値で買い付けにやってきて、地元の業者が出せないような価格で農家にアプローチ。
結果、農協への出荷が減少し、契約分が集まらなくなります。
困った農協はさらに買い取り価格を上げて応戦。
商社はそれに上乗せして再び提示・・この繰り返しが、かつてない異常な価格上昇を引き起こしたのです。
【誰が悪いのか?】
最近「農協が悪者」という声も聞こえますが、むしろ被害者に近い存在だったと私は考えています。
原因は単一ではなく、以下のような要素が重なっていました。
・長年の減反政策による慢性的な供給不足
・高温による品質低下
・精米歩留まりの悪化
・政府の需給見通しの甘さ
これらが重なっていたところに、商社がいち早く動いた、、、という構図です。
その動きの主な出口は、私見ですが「コンビニ対応」だったのではないかと推測しています。
【そして今年はどうなるのか?】
今年は政府の備蓄米60万トンが放出され、加えて輸入米も4万トン投入される見込みです。
一見すると、米の量は十分にあるように見えます。
しかし、昨年あれほど動いた商社は今年どう動くのか?
そして、政府が一方的に価格の引き下げを求める姿勢には違和感を覚えます。
生産者への配慮が見られず、「とにかく安く」という声だけが先行しているようにも感じます。
【私たち米屋の役割として】
こうした状況だからこそ、本当に美味しいお米を届けることが、私たちの役割だと考えています。
これからも、お客様に「美味しい」と思っていただける品質と、
生産者の方々にもご納得いただける価格との両立を目指してまいります。
今の日本の米事情には、やはりどこか歪みを感じずにはいられません…。
そんな思いを抱きつつ、日々お米と向き合っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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