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豊作を祈る夏の祭り 〜田植え後の地域の祈り〜
おはようございます。
叶屋福和家本舗です。
田植えが終わったあとの田んぼには、初夏の陽射しを浴びて若い苗が元気に伸びています。
今日は、そんな時季に各地で行われる「田植え後の祭り」をご紹介いたします。
まず代表的なのが「御田植祭(おたうえまつり)」です。伊勢志摩の伊雑宮では、6月24日に雅楽や舞とともに早乙女が神田に苗を植え、五穀豊穣を祈願します。国の重要無形民俗文化財にも指定され、日本三大御田植祭の一つとして知られています。他にも奈良の大神神社(6月25日)や山口の住吉神社など、各地の神社で同様の神事が行われ、早乙女の田植え舞や囃子の音が初夏の里に響きます。
一方、西日本を中心に伝わる「虫送り(虫追い)」は、たいまつ行列や太鼓の音で害虫を田から追い払い、秋の豊作を願う行事です。平家物語の武将・斎藤実盛の霊を鎮めることに由来し、「実盛送り」とも呼ばれます。夜の田んぼを揺らぐ炎が照らし、人びとが唱える掛け声には、自然と共に生きる先人の知恵と祈りが込められています。
これらの祭りは、田植えという労をねぎらい、稲の健やかな生長を願う大切な節目でもあります。地域によっては、田の神様に捧げるお供えや、早乙女に振る舞う「田植え団子」など郷土ならではの食文化も残っています。
私も先日お田植えをしました。家族が食べる分の小さな田んぼですが、普段歩かない泥の中を歩くのは、中々体力が必要でした。田植えのあとは「おさなぶり」と呼んでいるお疲れさま会を家族で行なって田植えの労を労います。
子どもの頃は、このお田植えと稲刈りの時の年2回のみ外食に連れて行ってくれたことを覚えています。外食が楽しみでお手伝いをがんばっていました。
以前に比べて機械で田植えができるので簡単にはなりました。家族や地域で協力して行うことは少なくなってしまいましたが、家族や地域の絆は大切にしていきたいと感じています。
このような昔ながらの行事に触れることで、農を支えてきた人びとの思いが見えてきます。
今年の夏は、静かに風をわたる稲の葉音に耳を澄ませながら、私たちの食卓を支える田んぼの恵みに感謝してみませんか。
お米が安く買えることはもちろん良いのですが、作っている方の生活、後継者の育成など中長期的な視点でものごとを考えていかないといけない時期なのかなと考える今日この頃です。