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【健塾メルマガ】報徳会宇都宮病院に損害賠償命令判決! 〜 違法な強制入院で 〜
2025年5月29日、宇都宮地方裁判所(本多哲哉裁判長)は報徳会宇都宮病院とその実質的オーナーで精神科医の石川文之進被告(他2名)に対して損害賠償を命ずる判決を言い渡しました。
この事件は認知症でないのに富山県内から報徳会宇都宮病院に連れてこられ強制入院させられたとして、富山市在住の元福祉施設経営者の江口實さん(83)が損害賠償を求めたものでした。判決文の中で裁判所は「被害者に精神疾患は認められず、違法に男性の身体の自由を侵害した医療保護入院自体およびその後の治療は違法である」と認められており画期的な判決となりました。
【事件の経緯】
江口さんは2018年12月16日の早朝、富山県内の自らが経営する福祉施設から民間救急業者によって羽交い絞めにされたまま約5時間かけて宇都宮病院に連行されました。そして認知機能検査を受けることなく、石川文之進医師による2~3言の問診のみで老人性認知症妄想型との診断を受け、医療保護入院となりました。江口さんにはそれまで精神科受診歴はなく、持病で通っていた病院の医師も精神症状はないと認めるような方でした。江口さんは37日間の入院を強いられました。入院直後にご家族から市民の人権擁護の会 日本支部(支部長・小倉 謙)のもとに退院をさせたいという旨の相談が入り、いつくかの幸運も重なって37日間で退院することができました。宇都宮病院に於いては37日間の入院というのは他に比べて非常に短い入院ですが、それでも江口さんが失禁や手の震え、意識障害などを訴えるようになるには十分な時間でした。これは明らかに向精神薬の副作用によるものですが、とにかくこの病院から出られたこと自体が奇跡といっても過言ではありませんでした。
江口さんは退院後もしばらくは体調不良は続きましたが、そんな中でも提訴に向けて準備を進め、証拠保全などで証拠固めを行い、ようやく2022年2月、時効直前で提訴に踏み切ることができました。事件発生から6年半、民事訴訟が始まって3年4ヵ月が経ち、本日ようやく地裁判決が出ました。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/1120722
【宇都宮病院について】
江口さんは2018年12月16日の早朝、富山県内の自らが経営する福祉施設から民間救急業者によって羽交い絞めにされたまま約5時間かけて宇都宮病院に連行されました。そして認知機能検査を受けることなく、石川文之進医師による2~3言の問診のみで老人性認知症妄想型との診断を受け、医療保護入院となりました。江口さんにはそれまで精神科受診歴はなく、持病で通っていた病院の医師も精神症状はないと認めるような方でした。江口さんは37日間の入院を強いられました。入院直後にご家族から市民の人権擁護の会 日本支部(支部長・小倉 謙)のもとに退院をさせたいという旨の相談が入り、いつくかの幸運も重なって37日間で退院することができました。宇都宮病院に於いては37日間の入院というのは他に比べて非常に短い入院ですが、それでも江口さんが失禁や手の震え、意識障害などを訴えるようになるには十分な時間でした。これは明らかに向精神薬の副作用によるものですが、とにかくこの病院から出られたこと自体が奇跡といっても過言ではありませんでした。
江口さんは退院後もしばらくは体調不良は続きましたが、そんな中でも提訴に向けて準備を進め、証拠保全などで証拠固めを行い、ようやく2022年2月、時効直前で提訴に踏み切ることができました。事件発生から6年半、民事訴訟が始まって3年4ヵ月が経ち、本日ようやく地裁判決が出ました。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/1120722
【宇都宮病院について】
報徳会宇都宮病院は、ある意味日本で最も有名な精神科病院です。なぜならば、精神保健領域で働く人は必ずその名を学ぶからです。
1984年に同病院で発覚した凄惨な事件は「宇都宮病院事件」として知られ、国際的な問題へと発展し、日本の法律が大きく変わるきっかけとなりました。つまりは教科書に出て来るレベルの歴史的存在です。
この事件について学んだことがある人の大半は、その病院は既に廃院となり歴史上だけの存在となっていると思い込んでいるようです。
しかし、同病院は存続し、当時の院長もちょっとした刑事罰と行政処分を受けただけで早々に現場に戻り、病院に君臨し続けました。そして、平成の終盤となる2018年12月に今回の事件が発覚しました。
https://toyokeizai.net/articles/-/456826
【医療保護入院制度について】
医療保護入院は精神保健福祉法第33条の1から5を根拠に行われています。「令状等無用で民間人が民間人拉致できる唯一の法律」です。本来「逮捕監禁罪」となるものが、精神科病院(精神保健指定医)だけはそれが許されています。
現在、年間約18万件あり、その不当性を訴えた裁判は数多くありますが、ほとんど棄却に終わっていました。しかし、成仁病院(東京都足立区)に対する民事裁判でも医療保護入院の違法性が認められる(地裁判決2022年11月、高裁判決2023年9月)など、ここに来て大きく潮目が変わりました。
我々は、2021年10月に厚生労働省に対し「家庭内トラブル等により本来入院する必要のない人が強制入院させられたことが事後に判明した事例など、強制入院制度が濫用されている実態について把握するため、精神科病院や弁護士会、精神医療審査会等に対して調査を実施し、その結果を公表すること。」と要望しました。しかし、その際の担当役人の反応に我々はひどく驚きました。なぜならば、そんな事例は把握していないと言い切ったからです。
我々はそこで奮起しました。それならば裁判で結果を出して突きつけ、有無を言わさず認めさせようと。ようやくそれが実を結びました。今回の裁判は、医療保護入院が「ザル」であることを示しました。そんなザルな制度で、精神科医に憲法を超える権限が与えられ、人々の自由が奪われてきたのです。
国連はともかく、WHOも今や完全にこれまでの姿勢を翻しています。2025年3月24日に発表された新しいメンタルヘルスのガイダンスにはこのような記載があります。
https://www.who.int/publications/i/item/9789240106796
「非自発的入院、非自発的治療、隔離、身体的・機械的・化学的拘束具の使用などの強制的実践は、世界的に精神保健サービスにおいて広まっている。しかし、これらの慣行が何らかの利益をもたらすという証拠はなく、一方で、身体的・心理的危害、非人間化、トラウマ、精神衛生の悪化を引き起こし、サービスに対する信頼を損なうという重大な証拠が示されている。また、このようなやり方は、家族だけでなく精神保健の専門家にも悪影響を及ぼし、若い専門家がこの分野に入るのを躊躇させ、すでにこの分野で働いている人々のやる気を失わせる。」(機械翻訳)
あのWHOがここまで言っているのです。コロナ時代にあれだけWHOという親分の威を借りていた厚生労働省は、なぜかこの分野に関しては完全にだんまりです。
拷問と差別を治療と称していた時代から脱却する時代がいよいよやってきました。我々の主張にようやく世界基準も追いついてきました。頑強な日本の生物学的精神医学から日本社会を解放するため、ようやくスタート地点と呼べるところまで来ました。
【今後のCCHR Japanの予定】
予告:
【今後のCCHR Japanの予定】
予告:
6月19~22日 メンタルヘルスパネル展示会(神戸サンボーホール)
6月21・22日 スペシャル講演会(同会場)
6月21日 生物学的精神医学への決別デモ行進 13時同会場集合予定
詳細は後日お知らせします。是非スケジュールを調整して神戸にお越しください。