德永善也のお米炊飯研究所

mail magazine backnumber

メールマガジン バックナンバー

メルマガお米炊飯研究所 配信No.31『続報:備蓄米ショックが始まる 〜コメ価格はどこへ向かうのか?

「もっとお米のこと、知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスター Prof. 德永善也が、
【德永善也のお米炊飯研究所】より、
「そうだったのか!」と思わずうなる
“お米のあれこれ”をお届けします。

今回のテーマはNo.29に続く「続報:備蓄米ショックが始まる ~コメ価格はどこへ向かうのか?」
アーカイブはこちらから↓
メールマガジン バックナンバー https://home.tsuku2.jp/merumaga_register.php?mlscd=0000214369

前回No.29では、備蓄米の放出も含めると、お米の供給が需要を上回っている可能性があることをお伝えしました。

そしてこの数日でまさに潮目が変わる事態が発生しています。
5月21日「お米は買ったことがない。米は売るほどある。」と失言した江藤農林水産大臣が辞任し、それを受けて小泉進次郎代議士がその後任として新農林水産大臣に任命されました。

小泉新農林水産大臣は、21日夜の就任会見で、来週に予定されていた備蓄米の入札を中止し、「随意契約」への切り替えを明言しました。

備蓄米放出の95%を入札した全農は見限られ、全農を外してスーパー、小売店などに直接販売すると伝えられたのです。

業界関係者によると、本州では米卸業者と農協がライバル関係にある地域も多く、全農が入札で確保した備蓄米が、結果として卸業者には流通しづらいという構造的な問題があるそうです。
北海道はその点、全農の下部組織としてホクレンがあり、ホクレンが米卸業者に備蓄米を分配し、いまも備蓄米は販売されています。
(備蓄米を「備蓄米」と売ってはいけないルールになっているので、なかなか消費者にはわかりません。ここだけの話ですが、例えばスーパーに並んでいる”きらら397”、ホクレンの”北の彩り(いろどり)”は備蓄米です)

政権維持の観点から、コメ問題が最重要課題とされています(他にも深刻な課題が山積しているにもかかわらず、ですが)。
小泉大臣は徹底的にコメの価格下落への対策を実施するでしょう。

前述したとおり、本当はコメは備蓄米を含めると飽和状態だと私は考えます。
お米の市場価格は下落の一途を辿ることになります。

しかし、本当に心配なことはこれからです。
まず、高値で仕入れ、在庫を抱える業者は突如として「ハシゴを外された」形となりました。
全農も入札した備蓄米を抱えたままハシゴを外されました。
今年の出来秋に勢い余って高値仕入価格を約束していた業者もハシゴを外されました。
生産者の秋の価格の目論みすら瓦解するかもしれません。

消費者にとっては待ちに待った価格の下落ですが、とんでもない産地と流通業界の混乱が訪れる可能性があります。
そして、これが終わりの始まりかもしれません。
農協が悪の根源のように揶揄されますが、それはある一面のこと。
生産者が出資して成り立っている農協が倒れると、生産者が出荷する米はだれが管理を担うのでしょうか?
生産者が皆自分で直接販売できる人ばかりではありません。

小泉大臣は約10年前に農協解体論を唱えており、その後は農協の株式会社化と大規模化によって、生産コストを引き下げるというビジョンを示していました。
株式会社設立には外資の関与も視野に入る可能性があります。

このままでは、私たちの食と農の土台が大きく揺らぐ危険性すらあると感じています。

私の考えは心配しすぎ、ネガティブ過ぎるのかもしれませんが、しかし私ですら想像できることです。

読者の皆さまにも、こうした視点をひとつの材料として、毎日の報道を見ていただければと思います。
これからどうなるのか、今後も追っていきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


〈お米についての質問を募集しております!〉
いただいた質問の中から德永がメルマガにて回答いたします

下記リンクから質問をお送りください
https://forms.gle/1Uu9J54qC7eCSfLb6

〈過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています〉
https://home.tsuku2.jp/merumaga_register_nologin.php?scd=&mlscd=0000214369&agt=

メールマガジン バックナンバー

過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています。

メルマガを購読する