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【book snack bar灯台】自分というグラス
「ママ、かとちゃん、そういうことなのよ!」
サクマさんが今にも飛び上がらんばかりに興奮している。
「あら、なんか気づいちゃったみたいよ、この人。」
ママがニヤニヤしている。
「わたしね、いまいちピンと来てなかったのよ。
アドラーは言うじゃない、すべての悩みは対人関係の悩みだって。で、その悩みを解消する出発点が「課題の分離」で、対人関係のゴールは「共同体感覚」だって。で、共同体感覚に辿り着くには、自己受容、他者信頼、他者貢献が必要なんだって。」
「この本のポイントが全部まとまってますね。」
「言葉ではそうなんだぁって感じだったんだけど、なんていうの、腹落ち?してない感じだったのね。」
「それがいま、腹落ちしたってわけね。」
ママがセブンスターに火を点けた。
「そう!ママのグラスの話で分かったのよ!
あのね、自己受容って、わたしというグラスをそのまま受け入れるってことなのよ!」
「サクマさんというグラス?」
「そう、サクマというグラス!自己肯定と自己受容って何が違うのかって話よ。生きているとあるじゃない、キャパオーバーしちゃうこと。いろんなことがあって、もう受け取り切れない、いっぱいいっぱいってこと。うまく立ち回れない自分や、小さな自分が嫌になるときって。」
「そうね。いろんなことが重なるときって、あるわよね。」
「そんなときにね、自己肯定だと、わたし頑張ってるんわよとか、わたしはまだまだやれるはずとか、そんな言葉が出てくるのよ。自分というグラスがいっぱいいっぱいなのに、まだまだ入れられるわよ、わたしならって。」
「ぼくもコンサル時代は、そうやってどんどん自分を追い込んでました。できない自分の自己否定に耐えられなくて、自己肯定しようとするんだけど、それが自分を追い詰めてました。」
「ね、そうなっちゃうのよ。自己肯定って。自己肯定も自己否定も判断が入ってるの。でもね、自己受容は判断がないのよ。今は辛い、いっぱいいっぱいだって感じてるって、それだけでいいのよ自己受容は。だって、グラスはさ、急には大きくならないんだもん。無理に自己肯定して、かとちゃんみたいにひびを入れて、割らしちゃだめなのよ。うまくいかなくて、人からダメ出しされて、自己肯定感ダダ下がりっていうのはさ、課題の分離ができていないからなのよ。」
「当時はどうしたらいいか人間だったし、そのどうしたらいいかが全く分からなくて、潰れました。」
「そうなの。どうしたらいいか人間って、承認欲求の塊なのよ。他人に評価してもらうことで自分を保ってる。他人の期待を満たすために生きている。承認欲求が満たされないから心が折れるのよ。なんで昔に比べて最近はメンタルヘルスが問題になるかって言ったら、どうしたらいいか人間だからなのよ。課題の分離ができていないからなのよ。それだと生きるのがしんどいのよ。」
サクマさんがいいちこのお湯割りをゴクゴクと喉に流した。
「でね、自己受容っていうのはね、極端に言えば、ただ感じなさいってことなのよ。課題の分離をしていたって、人から言われれば傷つくし、落ち込むわよ。辛いなぁってなるわよ。それをただ感じるの。思考でむりやり自己肯定したり、自分はだめだって自己否定したりしないでね。判断しちゃう左脳さん、黙ってなさいって。それだけでいいのよ。それが自己受容ってことよ。自分というグラスを感じるだけなのよ。」
(続く)
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