德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.17『質問に答える〜ごはんのほぐし方』

「もっとお米のことを知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスターProf.の資格をもつ、私、德永善也が
「德永善也のお米炊飯研究所」と題し
「そうだったのか!」
というような、“お米のこと”をお届けします。

今回のテーマはminmiさんからいただいたご質問。
「先日、ご飯が炊けた後の混ぜ方の話になりました。(十字に切って4等分にして1等分づつ混ぜるとか)ご飯にとって一番良い混ぜ方はありますでしょうか?」

とても良い質問をいただき、ありがとうございます。
本当にこれ、ごはんの美味しさを決める肝心なところです。

ごはんをほぐすのは蒸らし終わった後。
IH炊飯器であれば「ピー」となったら、すぐに釜のフタを開けごはんをほぐします。
ガス釜や土鍋、鉄鍋、文化鍋などは火を止めてから蒸らしを15分〜20分。そのあとフタを開けてほぐします。
「蒸らし」もごはんの美味しさを決めるとても大切な工程で、また別の機会にその意味をお伝えします。

蒸らし終えたら、すぐにほぐすことが必要です。
私がいつも行う方法は、minmiさんの仰るとおり!釜の中のごはんを十字に切って4等分にします。
そして分割したそれぞれの天地を返すようにほぐしていきます。
このとき大切なのは、
1.天地を返しながらしゃもじの先端で切るようにすること
2.ごはん一粒一粒が空気に触れるようなイメージで動作を行うこと
3.釜の上下、釜の内側、外側で炊き上がり方が違うので、全体を均一にするような感じでほぐすこと。
4.そして、それ以上あまりかき混ぜないようにすること。(ごはんが団子になります)

蒸らし終わった後のごはんは、釜の中に高温の水蒸気が満ちた状態です。
蒸らし終わって放置すると、高温の水蒸気の温度がだんだん下がり結露しはじめます。
その結露が水滴となって、釜のフタや釜内側に付着し、落ちてごはんに浸透しごはんをベチャッと水っぽくさせるのです。
蒸らし終えたら、ピーと鳴ったら、すぐにフタを開けてほぐさなければならない理由です。

炊き上がり直後の釜の中は高温の水蒸気に満ちていますが、これを湯気として放出するのが「ほぐし」の意味。
ごはんの良い匂いがお部屋に充満します。このときにごはんがツヤツヤと光沢があれば、美味しく炊けた証拠。
そしてしゃもじをグサリとごはんに刺しながら十字に四等分します。
四つに分かれたごはんをひとつひとつ釜の底から天地を返すように「ごはんを切っていく」のですが、
このとき大切なのが、ごはん一粒一粒が空気に触れるような切り方。

炊けてすぐのごはんは、一粒一粒の内部は水蒸気に満ちてパンパンな状態。
ごはんの表面は水蒸気とともにまだ高温の水分が付着した状態です。
温度が下がってくるとごはん内部の水蒸気は安定になり、不要な水分は蒸気とともに放出されていきます。

お湯で洗ったコップがすぐに乾き始めるように、ごはんの表面から不要な水分が飛び出ていきます。
これがほぐしの作業なのです。

不要な水分が放出され表面が乾燥し始めると、ごはんの表面にはデンプンだけが残り、顕微鏡で見るとデンプンがきれいに並んでいる状態。
これが光に反射してごはんの光沢として見えます。
わかりやすく言うと、ごはんの表面が薄いオブラートに包まれた状態。(若い方はオブラートを知らないかな?)
ごはんの表面に保水膜ができて、内部の水蒸気を閉じ込めてくれます。
そうすることで、ホクホクとした、プリッとした、ツヤツヤな、食感の良いごはんが出来上がります。

逆に上手にほぐせなかったり、蒸らし終わってもそのまま放置されると、高温の水蒸気が水滴となってごはんに付着します。
ごはんには不要な水分が付着して保水膜を溶かし、水分が再びごはんに染みこんでいきます。
想像するとおりベチャ、ベタッ、もさっと、ぐんにゃりとしたごはんの出来上がり。。。

ごはんのほぐしが大切な理由を理解して戴けたでしょうか?
毎日行う何気ない作業ですが、ごはんの美味しさを決める重要な作業であることを理解して頂けたらと思います。

ぜひ今日から実行してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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