德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.14『お米を研ぐ〜洗米 #2

「もっとお米のことを知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスターProf.の資格をもつ、私、德永善也が
「德永善也のお米炊飯研究所」と題し
「そうだったのか!」
というような、“お米のこと”をお届けします。

今回のテーマは前回に続き「お米を研ぐ〜洗米 #2」

前回はお米によって研ぎ方を変える、というお話をしましたが、
今回は、なぜお米を研ぐの?というお話。

通常精米のお米を”研がずにゆすぐだけ”で炊いた実験をしました。
1. お米をまったくゆすがず、研がない(水を入れるだけ)
2. お米を一回だけゆすいで、研がない
3.お米を三回ゆすいで、研がない

結果は、良い順から、
三回ゆすぐ > 一回ゆすぐ > まったくゆすがない
三回ゆすぐと、ほぼお米は研いだ状態に近くなりますが、それでもごはんの光沢に少し欠けます。
ちなみに、ゆすがず、研がないで炊飯すると、ごはんがねっとりしてボソボソと硬く炊き上がります。
お米は研ぐことでごはんに光沢がでる、という報告があります。

洗米の効果は、以下の4つです。
①米粒の表面に付着した糠やゴミを除去する
②保温時の米飯の劣化を抑制させる
③古米臭を取り除く
④土壌菌を洗い流す

①は、多くの方が知っているとおり、一番知られている理由です。
②は、お米を研ぐことで、保温したごはんが黄色くなったりする、劣化を遅らせることに有効です。
③は、前回で述べたようにお米の表層に古米化した原因があるので、お米を研いで美味しく食べられるようにします。
上記は、なんとなくわかる感じがすると思いますが…

④があまり知られていない事実。
お米は、特に玄米は一般生菌(主に土壌菌)が多く付着しています。
玄米食で玄米を水に漬けると、微細な泡がプクプク湧いてきます。これは付着した菌の発酵によるもの。
精米するとこの一般生菌は少なくなり、さらに炊飯は煮沸滅菌するようなものなので、ほとんど心配はないのですが、
まれに「高温耐熱性菌」が付着していて事故になることがあります。

代表的な菌が「セレウス菌」。
しかも私たちの身近にどこにでもいる土壌菌のひとつです。
10℃〜45℃で増殖しますが、特に28℃〜35℃で爆発的に増殖します。
このセレウス菌による事故が、一昨年の青森の270名を超える被害者が出たお弁当による食中毒事故でした。
炊いたごはんが温度の高い状態で置かれ、冷却までに時間がかかっている間に菌が増殖したと報告されています。
当日の青森は猛暑日でした。温度が高い状態とは、おそらく30℃〜40℃前後。
症状は「嘔吐」と「下痢」。「嘔吐型」は発症まで1時間〜5時間と言われています。
ちなみに、炊飯器の保温は70℃〜80℃前後なので、菌の増殖の心配はいりません。

洗米はこういった事故を未然に防ぐためにも有効です。
ゆすいで水が付着した米同士を軽くこすり合わせて、水で流す。
一般生菌はお米の表面に常在しているので、水でゆすぎ、流してあげることがより良い方法です。

滅多にない事故なので、あまり過度に心配することは不要ですが、知っているか知らないかは大違い。
洗米は、ただ糠を除去するだけではなく意味のある行為なのです。

ちなみに、無洗米も炊く前に一度水でゆすぐ方がより美味しくなります。
また、時間の経った無洗米は軽く研ぐことで、より美味しさが増す、という報告もあります。

お米を研ぐことは面倒なこともありますが、
よりお米を美味しく食べる方法として憶えて頂けると幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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