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メールマガジン バックナンバー
【book snack bar灯台】
ママがニコニコしながら、グラスのビールを飲んだ。
「かとちゃん、最近楽しそうだもんね!豚ではなくて、野生の猪に会ったのね。」
「こんな素敵な人たちがいるんだ!ってくらい、猪に遭遇してます。付き合う人が変わってきました。」
「へぇー、どんな人たちと出会ったの?」
「教育の世界では、偏差値を否定して、徹底的にこどもたちの自分はどうしたいを引き出すキャリア教育のプロと出会いました。どうしたらいいかではなく、自分はどうしたいのかで行動し、考える人を育てている方です。お会いしてすぐに大好きになりました。あとは、地域課題の解決にビジネスで取り組んでいる経営者の方。そういう人たちって、みんな共通していることがあるんです。」
「えっ、なに?」
「社会の役に立ちたいっていう強い確信があるんです。なんかね、おでこのあたりから明るいものが出ている。こういう人たちが、社会をアップデートしていくんだって思ってます。」
「それは素敵ね!」
「それから、柵を越えて猪になろうとする方々とも出会うようになりました。どういうわけか教員を辞めて起業したり、別の働き方を目指す人と出会うことが多いんです。」
「類は友を呼ぶね。」
「驚いたのは、ぼくの弟も教員を辞めることを決断したんですよ。」
「かとちゃんの弟さん、一回うちに連れてきてくれたことあったわよね。」
「ありましたね!うちの両親と叔父夫婦と一緒に!懐かしいですね。
ぼくね、今までの前半生は豚だったんですよ。「どうしたらいいか」で考えて、行動することにとても適応していました。まわりに野生の猪なんていなかった。でも、挫折を経て、今の事業や、この本と出会えて、「どうしたらいいか」ではなく、「自分はどうしたいのか」で自分が生き直すことができるようになって、こうやって猪に出会えるようになってきました。」
サクマさんがしかめっ面で、
「またそんな豚、豚言って。もうマシマシじゃない。」
「安全・安定という柵のなかで生きる。それを否定するつもりは全然ありません。それに、会社や組織の中にいるから豚ってわけじゃありません。大きな資本や権限を持っているところでこそ、社会の役に立てる仕事ができることもたくさんあります。大事なのはどこで生きるのかじゃなくて、どう生きるのか。「どうしたらいいか」で生きるのではなくて、「自分はどうしたい」で生きる。
この本の中にはこんなアドラーの言葉が紹介されています。
「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」と。」
ママがぼくのハイボールを新しく作ってくれた。
「飲み屋のママをやっているとね、お勤めの方の愚痴を聞くのも仕事のひとつなの。でも愚痴なんてみんな一緒よ。会社、上司、同僚、部下、取引先が分かってない、動いてくれない、あいつはなってないって。みんな与えられないことを愚痴るのよ。」
「大きな組織で生きるというのは、どうしたって「どうしたらいいか」で考えざるをえないですもんね。だからこそ、自分はどうしたいかがないと愚痴になっちゃうんですよ。」
「わたしね、愚痴る人に聞くのよ。「で、あんたはどうしたいのよ?」って。そしたら十中八九、「でもさ~」って言い訳が始まるわね。」
強めの炭酸が利いたハイボールを喉に流した。
「だから豚なんです。自分がどうしたいのかがあって、課題の分離ができて、自分が変えられるものと変えられないものが明確になって、ポジティブな諦めができると、愚痴なんて出ないですもん。愚痴ってる暇なんてないでしょ。人生短いですから。」
サクマさんがキョトンとした顔をしている。
「ポジティブな諦めってどういうこと。諦めるってネガティブなんじゃないの?」
(続く)
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