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メルマガお米炊飯研究所 配信No.10『備蓄米はどこへ?』
「もっとお米のことを知ってみませんか?」
五ツ星お米マイスターProf.の資格をもつ、私、德永善也が
「德永善也のお米炊飯研究所」と題し
「そうだったのか!」
というような、“お米のこと”をお届けします。
今回のテーマは「備蓄米はどこへ?」
3月10日〜12日に農水省が備蓄米の入札を行いました。
備蓄米とは主に政府が不作時の供給不足に対応するため、一定量を保管しているお米のことです。
政府は毎年約20万tの米を買い入れ、保管期間(約5年)を過ぎた米を飼料用米などとして売却していました。
備蓄米の保管量は、10年に1度の不作にも耐えられるよう100万t程度が目安にされています。
今年度は、昨年からの米供給の混乱に対応し「政府備蓄米の買い戻し条件付き売り渡し」による入札が初めて行われました。
さてここで、入札された備蓄米は私たちのところへ廻ってくるの?という問題。
関係者に聞いたところ、
「入札の主体は全農(※1)です。全農で入札した米を全国32箇所のJA経済連、北海道では”ホクレン”に数量が分配されます。
そしてホクレンでそのお米を道内の米卸に割り当てます。
どのくらいの量と品種が割り当てられるのかはまったくわかりません」
という回答。
3月19日、ある米卸会社からの情報では、
米卸「備蓄米が入荷することになりました。どのくらいの数量が割り当てられるかはまだ決定していません。
品種は、令和6年産のきらら397と令和5年産のななつぼし。それぞれを単品で売るかブレンドして売るか、包材の関係もありまだ決めていません。
今月内に販売できるかどうか…。」
筆者「で、価格は?」
米卸「ご存じのとおり、安く入札されたわけではないので、それほど安くはならないかと…農林水産省に販売と流通の報告義務があるので、わかりやすいように、すべて白米で流通される予定です」
このたびの備蓄米放出。実際としては業界は静観の構えです。
そもそも令和6年生産量679万㌧。備蓄米放出予定量は21万㌧で全体のわずか3%の量。
令和5年度では生産量に対して需要量が上回り、44万トンの国内在庫減少。
令和6年は18万トンの増産でしたが、それでも国内在庫減少を充たすことができないでいます。
業界ではまだ少し不足感があり、いまだに相場は高騰を維持。現在も昨年3倍の価格相場です。
これから私たちが考えなければいけないのは、生産者と流通、そして生活者が”生きていける価格”のあり方。
いつか必ずこの混乱が収まるときがきます。
そのときに、安ければいい、高ければ高いほどいい、ということではなく、
それぞれが生活できて、納得できる価格のあり方を模索しなければいけません。
米流通の混乱も備蓄米の放出も、50年以上続いた米余り時代が終わり、次のステージへの転換期として捉えてよいと思います。
※1 「全国農業協同組合連合会」といい、農業協同組合の活動を全国規模で支える組織。いわば農協の上部団体。
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