德永善也のお米炊飯研究所

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メルマガお米炊飯研究所 配信No.9『お米品種紹介〜ゆめぴりか〜#3』

「もっとお米のことを知ってみませんか?」

五ツ星お米マイスターProf.の資格をもつ、私、德永善也が
「德永善也のお米炊飯研究所」と題し
「そうだったのか!」
というような、“お米のこと”をお届けします。

今回のテーマは「ゆめぴりか」についての3回目。
ゆめぴりかの美味しさのヒミツに迫ってみます。

2009年 (平21)から販売が始まったゆめぴりか。
当時、食味に関する調査が札幌と東京で行われ、比較対象のコシヒカリよりも評価が高い、という結果が得られていました。
また2011年(平23)には「北海道米の新たなブランド形成協議会」が結成され、ゆめぴりかの品質基準(※1)も設定されました。
ちなみに協議会が主体となり毎年11月に開催されているのが「ホクレンゆめぴりかコンテスト」
筆者、徳永も2015年の第一回目より審査員を務めています。

ゆめぴりかは一般的に、柔らかく、ツヤと粘りがあり、甘みを感じる、と評価されます。
「低アミロース米」という表現で、粘りを阻害するデンプン=アミロース含量が少ないから、と一般的に云われていますが、
粘り(おねば)をつくるデンプン=アミロペクチンの微細な構造に着目した研究者がいました。

アミロペクチンは、ブドウ糖(グルコース)が結合し鎖状になって枝分かれした状態になっています。
(ちなみにアミロースはブドウ糖が直線、棒状に結合しています)
その鎖状に結合した状態が、水と熱によってアメーバ状になりながら(糊化という)、水分(蒸気)を抱えて膨張していきます。
これが炊飯、つまりごはんの本質です。
そしてこの研究者は、ゆめぴりかが特にこのアミロペクチンの鎖状が短く、且つ房々が多いことを見出しました。

敢えてわかりやすく例えるなら、普通のうるち米はアミロペクチンが庭箒状(バカボンのレレレのおじさんのほうき!)になっているところ、ゆめぴりかはナイロンのほこり取り(ナイロンはたき)、短い繊維がびっしり重なり合っている状態です。

ブドウ糖が結合する短い鎖(※2)が他の品種に比べて多い構造から、水分を抱えやすく柔らかさが持続することがわかりました。
ゆめぴりかが甘みを感じやすいのも、舌にブドウ糖が乗りやすい、といった要因であることが想像できます。(これは筆者の想像)

北海道が誇るゆめぴりかは、他のお米とはちょっと違う構造になっていて、全国的に評価が高いことが肯(うなず)けます。
年次差や気候変動に敏感なゆめぴりかは課題も多いのですが、私たちが大切にしていきたい品種です。

次回は話題の備蓄米についてお伝えしたいと思います。

※1 ゆめぴりかの品質基準「アミロース含量が 19 %未満の場合はタ ンパク質含量が 7.5 %未満であり,アミロース含量が 19 % 以上の場合はタンパク質含量が 6.8 %以下」
※2 短鎖アミロペクチン

参考文献
五十嵐俊成:北海道米の食味に関与するアミロペクチン分子の構造解析に関する研究. J.Appl.Glycosci.,57,25-32(2010)



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