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德永善也のお米炊飯研究所 メルマガ配信No.2『令和の米騒動#1』

「もっとお米のことを知ってみませんか?」
 
五ツ星お米マイスターの資格をもつ、私、德永善也が
「德永善也のお米炊飯研究所」と題し
「そうだったのか!」
というような、“お米のこと”をお届けします。

今回のテーマは世間を取り巻いた「令和の米騒動」
その真相を業界の内側から見る私の視点からお伝えいたします。

2023年は作況指数が101で「平年並み」とされましたが、2024年の1月には米が足りないとの噂が業界で広まっていました。
私はその時点では、そこまで深刻になるとは予測していませんでした。

実際には、日本海側、関東地方、そして東北地方で2等米が多く発生し、歩留まり※が悪かったのです。(※ここでいう歩留まりとは、収穫した米のうち商品として販売可能な割合を指します。)

2023年の生産量は661万トンでしたが、2等米が多く歩留まりが悪かったため、実際の流通量はもっと少ないと思われます。

2019年から4年続いたコロナ禍が収束し飲食業界が回復。需要が戻った結果、10年ぶりにお米の需要が増加したのです。
つまり、50年以上続いた米余りと需要減少が2023年から反転し、生産量に対して需要が追いつかなくなったことが、令和の米騒動の根本原因です。

生産量から見ると全国で生産されるお米のうち、ざっくりと約1/3が農家消費と加工用やもち米などに使われ、1/3が生産者が直接販売しているお米です。つまり残りの1/3がいわゆる業者(農協、卸、問屋、小売店など)が販売するお米です。

2024年の生産量は679万トン。
お米が足りないと云われた要因は、カウントされない生産者直接販売の米が1割増えただけなのではないかと考えます。
そうすると政府が発表した「消えた21万トン」との数字が符合します。

3月の入札で政府備蓄米が15万トン(全体で21万トン)放出される予定です。
全体の需給量としては日本国民の食を賄える量となるようですが、前年夏に既に20万トン先喰いしています。
2025年夏から秋にかけて再びお米が足りなくなるのか?

また次回のお話で。



参考資料:農林水産省「米の流通状況(平成16年〜令和4年産米)」

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