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感じるしくみ(感覚系)⑤
感じるしくみ(感覚系)⑤
【苦さの効用】
(苦さの意義)
苦味はとても不思議な
味覚です。
もちろん苦味は嫌な味覚です。
赤ちゃんに苦いものを
与えると、身震いして
嫌がりますね。
人の正常な体のしくみを
解く生理学では、苦味は異物、
毒物など食べ物に有害なものが
含まれているというサイン
とみなしています。
だから、子どもが苦いものを
極端に嫌がるのは当然のこと
なのです。
苦さをはかる標準物質としては、
キニーネというマラリアの
特効薬を使います。
これはカクテルに使う
トニックウオーターの苦味の
もとでもあります。
そういえば、これを使う
ジントニックはほのかな苦味が
魅力的ですね。
それになんといっても、
ビールは苦味が利かなければ!
というわけで、大人になると、
なぜか苦味を好むようになります。
コーヒーやお茶の例を
挙げるまでもありません。
苦いと自然と顔をしかめる
反射が起こりますが、
ビールを飲むとみんな顔を
しかめながら喜んでいますね。
適度な苦味は、他の味覚を
引き立てる作用があるようです。
でも、苦味を好むように
なるにはかなりの経験が必要です。
苦味はまさに「大人の味」
なのです。
ところで、人は苦味を感じると、
胃腸の運動が高まるという
反射が存在します。
実は、この反射を利用して
いるのが苦い胃薬で、
苦味剤と呼ばれます。
苦味剤は、実験的に胃に
直接入れても胃腸運動は
全く変化しません。
苦味を感じることが
大事なのです。
ですから、苦い胃薬を
オブラートに包んだり、
苦味を感じないうちに
のみ込んだりしては、
効果がないのです。
胃薬もしかめっ面をして、
大人の飲み方で。
最後までお読み下さり
ありがとうございました。