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脳のしくみ(脳神経系)16
脳のしくみ(脳神経系)16
【春は眠い】
(睡眠サイクル)
有名な漢詩の一節に
「春眠暁を覚えす」
というのがあります。
春の朝はなかなか目が覚めない、
つい寝過ごしてしまうという
意味だそうです。
なぜ、春は眠いのでしょうか?
春は暑くも寒くもなく、
眠りやすいので、ついつい
朝寝坊するという意味だそう
ですが、一説によると、
厳しい冬をすぎて春の暖かい
陽気になると、冬の間の疲れが
どっと出て、眠気が強くなる
というのです。
はたして本当でしようか?
この漢詩を孟浩然が詠んだのは、
中国の長江流域の湖北省で
隠居していたときだそうですので、
冬がそんなに厳しいとも
思えません。
それに疲れだけなら数日も
朝寝坊すれば取れてしまい
そうなものですが、とにかく
春の時期は眠いというのですから、
少し違うような気がします。
この「春眠……」は、
あたりがすっかり明るく
なってから目が覚めるということを
いっていますね。
でも、おそらく朝寝坊ではなく、
冬に比べて春は夜が明けるのが
早くなることをいっているのでは
ないでしょうか。
あたりが明るくなったら
すぐにでも目が覚めそうですが、
人は意外と同じ時刻に目が覚める
ものです。
人には生物時計という体の働きの
リズムをつくる装置があって、
それによって睡眠サイクルが決まり、
各自決まった時間だけ眠る習慣を
持っているからです。
時計がなかった時代に隠居して
いたので、孟浩然は朝寝坊と
勘違いしていたのかもしれません。
とはいえ、たしかに春は
寒い冬より眠りやすくなるのは
事実です。
でも「春眠暁を覚えず」は
朝寝坊のいいわけには
なりませんよ。
最後までお読み下さり
ありがとうございました。