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『銀河鉄道の弟さん』宮澤清六さんに感謝を込めて
『銀河鉄道の弟さん』 宮澤清六さんに感謝を込めて
宮澤賢治文学をテーマにした作品の制作にあたり一九九六年三月十七日、
まだ雪残る花巻の林風舎に宮澤清六さんをお訪ねしました。
氏は賢治の実弟で、賢治の死後、世間に広く宮澤賢治の文学を知らしめた方です。
当時九十歳だった氏は、『冬と銀河ステーション』の詩をテーマにした
弊社のジュエリーを興味深く手に取って見て下さいました。
(オリジナル作品は非売品です。)
そして林風舎代表・宮澤和樹氏(清六氏お孫さん)と共に、
宮澤賢治文学をテーマにして作品を制作することを快く良く承諾して下さいました。
その後、作品が出来上がるたびに氏には御報告をさせて頂きました。
宮澤家の方々には深く感謝しております。
冬と銀河ステーション 宮澤 賢治
そらにはちりのやうに小鳥がとび
かげろふや青いギリシャ文字は
せはしく野はらの雪に燃えます
パッセン大街道のひのきからは
凍ったしづくが燦々と降り
銀河ステーションの遠方シグナルも
けさはまっ赤に澱んでいます
川はどんどん氷をながしているのに
みんなは生ゴムの長靴をはき
狐や犬の毛皮を着て
陶器の露店をひやかしたり
ぶらさがった章魚を品さだめしたりする
あのにぎやかな土澤の市日です
(はんの木とまばゆい雲のアルコホル
あすこにやどりぎの黄金のゴールが
さめざめとしてひかってもいい)
ああ Josef Pasternack の指揮する
この冬の銀河軽便鉄道は
幾重のあえかな氷をくぐり
(でんしんばしらの赤い碍子と松の森)
にせものの金のメタルをぶらさげて
茶いろの瞳をりんと張り
つめたく青らむ天椀の下
うららかな雪の臺地を急ぐもの
(窓のガラスの氷の羊歯は
だんだん白い湯気にかはる)
パッセン大街道のひのきから
しづくは燃えていちめんに降り
はねあがる青い枝や
紅玉やトパーズ またいろいろのスペクト
ルや
もうまるで市場のやうな盛んな取引です
URL:https://ec.tsuku2.jp/items/15200044251310-0001