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【KENJUKU/健塾】メルマガ 日本精神科病院協会の会員病院で起きた最近の事件
東京八王子にある滝山病院で起きた虐待問題はどんどんその波紋を広げています。
滝山病院の院長・朝倉重延氏が2000年当時経営していた朝倉病院で起きた事件…。もう過去のものかと思いきや、やはり同じような問題を起こしていました。
朝倉病院事件の際には、日本精神科病院協会(日精協)は2001年2月の機関誌巻頭言で「朝倉病院不祥事件に思う」と題して以下のようなことを述べています。
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「民間精神科病院の約8割、1,214病院を傘下におく日本精神病院協会は、精神障害者の人権尊重を第1に考え、常日頃より会員病院の向上と精神保健福祉法の遵守に努めているところである。精神保健福祉法や病院運営に関する各種講習会を頻回に開催し、法改正の度に実務マニュアルを発刊し、国や都道府県行政の指導が会員に浸透するように周知徹底をはかり、さらに各県支部において会員間でピアレビュー等を推進している。このように会員同士で監査しあい自浄作用に努力している。もし問題となる事件が発生すれば、直ちに会員病院には調査団を派遣している。この方式でカバーできないのが非会員病院で、情報欠如のまま時代の動きを把握できないでいると、取り残され、その結果として、今回のごとく現在の医療水準を遥かに下回る異常な事態を引き起こすことになるのである。このような問題病院に対してこそ、国や県はすみやかに対応し、監督を強化し、その手をゆるめるべきではない。」
つまり、朝倉病院事件の際に、非会員だからこんな事件を起こしていると言わんばかりでした。
2000年12月の公衆衛生審議会においても朝倉病院事件が話題になり、部会員の津久江氏(日精協の幹部)が「済みません、大変精神病院の風上にも置けないような病院でごさいまして、幸い会員病院ではございませんけれども、日精協の会長名で何らかの可及的早い時期に声明文を出すということで対応しております。」と発言しています。
では、朝倉病院事件を受けて、自浄作用を高めたはずの日精協会員病院でなぜこのような事件が発生したの でしょうか。一病院の問題に矮小化せず、是非協会の問題として検証していただきたい次第です。
ここのところ、精神科病院では不祥事が連続的に起きているのですから!
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【 日本精神科病院協会の会員病院で起きた最近の事件 】
2020年10月27日、神出病院(神戸市)において入院患者に虐待を繰り返していたとして、6人の職員が準強制わいせつや暴行、監禁などの罪に問われた事件で、全員の有罪(3人が実刑、残り3人は執行猶予付き)が確定した。
2021年5月28日、東北福祉大せんだんホスピタル(仙台市)において、男性看護師が入院患者に不適切な行動制限をする事案があったことが発覚し、仙台市が精神保健福祉法に基づき改善を求める文書を病院側に通知した。
2021年10月19日、ときわ病院(石川県)で2016年、入院中の男性患者が死亡したのは違法な身体拘束が原因だとして、両親が病院側に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷は病院側の上告を受理しない決定をし、病院側に約3500万円の支払いを命じた二審名古屋高裁金沢支部判決が確定した。
2022年2月18日、七生病院(東京・日野市)に入院していた女性が、院内で新型コロナウイルスに感染した際、治療を受けられないまま外から施錠された劣悪な環境の部屋に10日間閉じ込められたとして、院長らに対し550万円の賠償を求める訴えを東京地方裁判所立川支部に起こした。部屋には陽性患者6人がいて、排せつは部屋の中央に置かれた簡易トイレで行うなど、劣悪な環境で精神的損害を受けたとしている。さらには、病状が安定したにもかかわらず適切な退院支援を受けられずに4年以上の入院生活を強いられたことも併せて訴えた。
2022年3月29日、阪本病院(大阪府東大阪市)において、認知症患者に対する性的虐待等が発覚し、大阪府が前年に同病院に対する立ち入り調査や改善命令を出していたことが明らかになった。15人の職員が関与していた。
2022年11月16日、不当に強制入院や身体拘束されたとして、成仁病院(東京都足立区)の運営法人を訴えた件で、東京地裁は病院側に308万円の支払いを命じた。精神保健指定医の資格を持たない医師が入院の診察をしていたとして、入院やその後の拘束が違法だと認定された。さらには「(原告に)精神障害があったとは認められない」とされた。
2022年12月21日、ふれあい沼津ホスピタル(静岡県沼津市)において、看護師ら2人が入院患者を殴ったり、車いすごと転倒させたりするなどの暴力をふるっていたことが発覚し、病院側が謝罪会見を開いた。県に報告しなかったことについて「法律に届け出の義務はなく、県に報告しなかった」と釈明した。
2022年12月27日、ふれあい沼津ホスピタルと同じグループが運営するふれあい南伊豆ホスピタル(静岡県南伊豆市)においても、准看護師や介護福祉士など4人が患者の口に粘着テープを貼ったり足を踏んだりするなどの虐待行為を行ったとして、懲戒処分を受けていたことが発覚した。
2023年1月17日、当時13歳だった男性が、本人の同意なく医療保護入院措置で強制入院させられたことは違憲・違法だなどとして、児相を設置する東京都や母親などを相手取り、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。被告は都のほかに、入院措置をおこなった多摩あおば病院(東京都東村山市)、男性を診断した指定医2人、および入院措置に同意した母親が含まれている。
2023年2月14日、滝山病院(東京都八王子市)において、職員による入院患者に対する虐待が発覚し、警視庁が暴行容疑で看護師を逮捕した。翌日に同病院を家宅捜索した。