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【KENJUKU/健塾】メルマガ 犯罪を繰り返す精神科医に17年かけてようやく実刑判決!

昨日は、東京地裁において、新宿歌舞伎町の精神科クリニックである東京クリニック院長、伊沢純医師に対する判決が言い渡されました。2年4月の実刑判決でした。非常に重要な判決なのですが、今のところどこのメディアも取り上げていないようなのでお知らせします。



まず、伊沢医師は私が知る限り2006年からず~っと同様の問題を起こし続けています。

これまでに彼によって被害を受けた人の数はかなり膨大なものになるでしょう。

医師の犯罪を問うことは非常にハードルが高いのですが、その構造をずる賢く使いまんまと犯罪をやり続けてきたのがこの伊沢医師だったということです。


伊沢純医師は、過去に2度医師免許停止の行政処分を受けています。

1度目は診察中に女性患者を殴った傷害罪が確定したことで2年の停止となりました(2007年8月)。

現行の医療行政の不備と言えるのですが、たとえ医師として不適格であることが判明したとしても、行政処分(医師免許の資格取消しや停止)には時間がかかります。伊沢医師の場合も、傷害罪が確定してから医師免許停止の処分が出るギリギリまで診療を続けていましたが、それは何ら違法なことではありません。

彼は合法覚せい剤と呼ばれるリタリンを乱処方していたことで有名でした。若者を中心にリタリン乱用が広がり、社会問題となりました。彼の問題が契機となりリタリンが規制されることになりました。

彼は有罪確定後も続けていた診療の中で、無資格者に向精神薬を処方させていたという別の犯罪を犯しました。これは医師法違反として取り上げられました(2008年6月に書類送検)。それが裁判で有罪が確定するまで時間がかかり、ようやく2014年10月になって2回目の行政処分となりました。行政処分までになんと6年も要したのです。

伊沢医師は2008年11月2日には元患者だった交際相手に再度交際を迫り、脅迫したとして、ストーカー規制法違反及び脅迫の疑いで警視庁に逮捕されましたが不起訴となりました。

2回目の医師免許停止処分が解けた後、彼はかつてと同じ「新宿歌舞伎町」で、同じ「東京クリニック」の名称で開業しました。

そして、今回の事件です…。
彼の逮捕の概要は以下の通りです。

・2022年3月以降、彼は合計6回逮捕されました:
・2022年3月7日、覚せい剤取締法違反で逮捕(処分保留)
・2022年3月28日、患者である交際相手への傷害の疑いで逮捕(後に起訴)
・2022年4月21日、女性患者に対する準強制わいせつの疑いで逮捕(処分保留)
・2022年5月16日、女性患者の父親の勤務先の問い合わせフォームに女性の名誉を毀損する書き込みをしたとして名誉毀損の疑いで逮捕(後に起訴)
・2022年6月15日、女性患者に対する強制わいせつ未遂の疑いで逮捕(処分保留)
・2022年7月7日、患者に対する強制性交の疑いで逮捕(処分保留)

​今回の判決は、上記逮捕のうち、起訴された傷害と名誉棄損に関するものでした。

法廷では判決文が読み上げられましたが、精神科医という立場を悪用した悪質性がよく理解できました。

傷害罪の被害者であるAさんは患者であり、看護師としてクリニックに勤務する職員でもありました。Aさんは被告人によって多量の睡眠薬等を含む薬を処方されていました。裁判官は、被告人の犯行を「粗暴であって悪質である」とし、経緯にも酌量すべきものはないと断じていました。

名誉棄損された別の被害者Bさんも、クリニックの患者でした。被告人とBさんのLINEによって裏付けられたのは、被告人は、金を払って患者であるBさんと性行為をしたり、被告人自身が必要な薬を入手するために、Bさんに対する処方せんを出す形で薬を受け取らせてこれを買い取るなどしていた事実です。

その後関係が悪くなり、被告人がBさんに対する名誉棄損の犯行をしたようです。裁判官は「医師であることを悪用した犯行は悪質であり、動機に酌量の余地がないことも明らかである」と断罪していました。

今回実刑判決が出たことで、保釈されてすぐに現場に復帰するということは免れました。もしもそうなっていたら厚生労働省の面目も丸つぶれになったでしょう。

医師法第7条では「医師としての品位を損するような行為」に対して行政処分を下せることが明記されています。刑事裁判が確定するまで行政処分を下せないという従来の姿勢のままでは、伊沢医師のように繰り返し患者に危害を加えるような人物が野放しになってしまいます。

精神科医としての地位・関係性、知識、薬を悪用して患者に危害を加えたり搾取したりする医師は彼だけではありません。しかし伊沢医師ですら処分できないのであれば、他を処分しようもありません。

法改正は必要ではありません。現行法である医師法を適切に運用さえすれば処分できるはずです。厚生労働省の良識ある決断を求めます。

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