2023.04.08
増えた田んぼと米づくりへの想い
いつも応援ありがとうございます。ヒンナファームの山崎雄介です。
今期より新たな試みとしてブログを始めてみます。
メルマガやSNSとは少し違う形で、私たちが経験してきたことや考えていることを記録していきたいと思います。
さて、ひとつご報告なのですが、田んぼが増えました。
そこで今回は、増えた田んぼにまつわるエピソードと、私たちの米づくりへの想いを書いてみます。
今年に入って間もなく、地域の農家さんが田んぼを一部手放すので買わないか、という話をいただきました。うちの田んぼのすぐ隣です。
ずっと田んぼを増やしたかった私にとっては待ちに待った話でしたので、少し背伸びをして買わせていただくことになりました。
面積にして約1.2ヘクタール(12,000㎡)。わかりやすく言うと東京ドーム1/4個分の広さです。却ってわかりにくい?
所有者であった農家(Nさん)は、米を作って60年以上という大ベテラン。
うちが就農した1年目、手押し式の原始的な除草機でヒーヒー言いながら田んぼの草取りをしていたとき、通りがかったNさんから「懐かしいなあ!俺も小学校の頃親に手伝わされてたよ」と声をかけられました。
当時はトラクターすら無く、代わりに農家は馬を飼い、プラウという器具を曳かせて馬耕していた時代。想像するだけで気が遠くなったのを覚えています。その時代だったら絶対に農業をやろうとは思わなかったですね。
地域で一目置かれる名人のNさんも、70歳を過ぎてから肩が上がらなくなり、今年やむなく米作りを縮小するということでした。
息子さんたちも跡は継がないそうで「あと2年もしたら全部手放すから」とおっしゃっています。
高齢化や後継者不在による担い手の減少はずっと言われ続けていますが、こうして我が身に降りかかってみると本当に実感が沸きます。
農地の条件が極めて良くなかなか土地を手放す人がいない長沼町でさえこの状況ですので、国全体ではさらに深刻だと想像できます。
米の消費量も右肩下がりで米価はずっと低水準、国も転作を奨励するので水田の畑地化が進み、その動きは肥料や燃料などの資材高騰でますます加速するでしょう。
そうして一度畑地化した田んぼは、そう簡単には元の状態に戻りません。
瑞穂の国・日本を支えてきたのは田んぼです。
私たちの先祖は二千年以上も前から主食としての米をつくり、米づくりから神事や様々な文化が生まれ、そこに棲む生き物たちが日本の自然をつくってきました。
田んぼのある風景を見てノスタルジックな感情が沸くのは日本人のDNAの記憶だと私は考えています。
私たちの農業は単に米をつくって売ることではない。
米づくりを通して、家族や応援してくださる皆様の幸せをつくること。
今の環境を少しでも良くして次世代につなぐこと。
就農当初に思い描いていたことは3年経った今も変わることはなく、むしろより明確になっています。
新たな田んぼと一緒に、その土地の歴史や想いも受け継ぎ、今シーズンはさらなる進化をしていこう。
そんな決意表明をして今回は終わりにします。