2025.11.03
【書のことば】「守破離」第2章──楷書・行書・草書に宿る流れ
書の世界では、技の流れそのものが「守破離」を体現しています。
楷書、行書、草書──
この三つの書体は、形の変化を超えて、心の自由の広がりを表しています。
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◆ 「守」──楷書に学ぶ、形と心の整え
楷書は“守”の書体。
点画の一つひとつが明確で、整然としています。
筆を立て、呼吸を整え、
一画一画に心を込めて書く。
この緊張感の中に、
「書とは何か」「心を整えるとは何か」が凝縮されています。
楷書を丁寧に書く時間は、
まるで座禅のよう。
心が乱れれば線が乱れ、
静まれば筆もまた静かに走ります。
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◆ 「破」──行書に宿る、流れと呼吸
楷書で形を学んだ後、
書は次の段階へと進みます。
行書──それは“破”の書体。
筆を動かす呼吸が変わり、
線の間に“間(ま)”が生まれます。
文字同士がつながり、流れ、響き合う。
まるで会話のように、
筆が自分の心と語りはじめます。
ここでは、「整える」から「感じる」へ。
書が、少しずつ生き物のように動き出すのです。
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◆ 「離」──草書が導く、心の自由
草書は、“離”の象徴。
筆の動きが最も速く、
線はまるで風や水のように流れます。
その筆致は、感情や気配そのもの。
意識的に整えることを手放し、
心のままに筆を委ねる境地です。
ここでは、書く人と書がひとつになります。
「書こう」とする意図さえ消え、
ただ心の動きが墨となって紙に映る。
草書は、技の終着点でありながら、
心の出発点でもあるのです。
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🕊 次回予告
✒️第三章 🌸書の道の集大成「名前書き」─守破離が融合するとき
第三章では、
この“心と技の守破離”がひとつに結ばれる瞬間──
「名前書き」という行為の中に息づく意味を見つめます。
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