2025.04.16
中学受験に向けたお母さんの心構え:自己客観化の大切さ
中学受験のシーズンになると、多くのご家庭で様々な問題が発生します。特に小学校6年生のお子さんを持つお母さん方にとって、この時期は心身ともに疲弊しやすい時期でもあります。そんな中で最も大切なことは「自己客観化」の能力を身につけることなのです。
自己客観化とは何か?
自己客観化とは、冷静に自分自身を見つめることができる能力です。中学受験の世界では「女優になりましょう」という合言葉があります。これは、どんな状況でも感情に流されず、自分を客観的に見ることができる精神状態を保つということを意味しています。
例えば、お子さんが過去問で思うような点数が取れなかったとき、つい感情的になって叱りつけてしまうことがあります。合格最低点が60点なのに、お子さんが20点しか取れなかった場合、40点の差に焦りを感じ、怒りをぶつけてしまう場合があります。しかし、冷静に考えれば、お母さんがキレたからといって子供の成績が上がるわけではないことは明らかです。
自己客観化ができないときに起きる問題
中学受験において大きなトラブルの多くは、お母さん自身が自分を客観的に見られていないことから発生します。自己客観化ができるようになると、大きな失敗を避けることができます。最悪のケースでは、中学受験に失敗した子供が不登校になったり、グレてしまったりするケースも現実に起きています。
特に注意すべきは、自分自身のコンプレックスや未達成の夢を子供に投影してしまうケースです。例えば、自分が学歴にコンプレックスを持っている場合、その埋め合わせを子供にさせようとする心理が働きます。その結果、子供の実力とかけ離れた難関校ばかりを受験させるといった無理な選択をしてしまいます。
具体的な例
ある相談では、お母さんが子供に対して手を上げてしまうケースがありました。理由を聞くと、東大卒の夫とその母親(義母)からのプレッシャーがあり、子供の成績が少しでも下がると自分の血が混じっているからできないと言われているように感じて、そのフラストレーションを子供にぶつけてしまうというものでした。
また別のケースでは、東大卒の両親の下で育った兄弟3人の末っ子が、上の2人ほど成績が良くないことを悩んでいるというものもありました。興味深いのは、本当に実力や学歴のある家庭は、そのことをあまり口にしないということです。逆に、学歴やお金について頻繁に話題にする人は、実はコンプレックスを抱えていることが多いのです。
マウンティングの心理
オープンチャットなどでよく見られる「マウンティング」も同じ心理から来ています。他人に対して優越感を示そうとする人は、実は内面に深い劣等感を抱えていることが多いのです。優越感と劣等感はコインの表と裏のような関係にあります。
例えば、社会人になっても常に「東大卒」ということを周囲に誇示する人がいます。しかし本来、学歴は入社時のフィルターの一つに過ぎず、その後は実績が全てのはずです。それにもかかわらず学歴にこだわる人は、他に誇れるものがないからこそ、そこに執着するのです。
子育てにおける自己客観化
子育てにおいても「なぜ私はこんなことを言うのだろう」「なぜこんなに怒るのだろう」と一歩引いて考えることができれば、多くの問題を避けることができます。自分は子供のためと思っていても、実は自分のエゴやリベンジ心理が働いていることがあります。
そういった自分の気持ちに気づくことができれば、より建設的なアプローチが可能になります。例えば、過去問で20点だった子供を60点まで引き上げるには何が必要かを冷静に考え、子供と一緒に解決策を見つけていく姿勢が大切です。これは中学受験だけでなく、社会に出てからも役立つ問題解決能力を育むことにもつながります。
まとめ:冷静さを保つために
中学受験において、お母さんが自己客観化できることは非常に重要です。感情に任せて行動するのではなく、一息ついて「なぜ私はこういう反応をするのだろう」と考える習慣をつけましょう。100%完璧にできなくても構いません。頭の片隅にこの考え方を持っておくだけで、多くの問題を解決する糸口になります。
子供の成長のためには、お母さん自身が冷静さを保ち、建設的なサポートを提供することが大切です。自分自身と向き合い、客観的に見つめる勇気を持つことで、お子さんの中学受験を成功に導く第一歩となるでしょう。また、このような心構えは受験だけでなく、その後の長い子育ての道のりでも必ず役立つはずです。