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医食同源!日本食のチカラ 〜味噌編③〜【東洋医学の智恵袋 vol.65】

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

前回、
味噌は発酵が中途半端だからこそ
「ペプチド」という大切な栄養素を
生み出してくれているという
お話をしました。

そして、その中途半端さは
発酵度合いだけではなく、
その形状も中途半端です。

味噌の形状は、固体でも液体でもなく
その中間であるペースト状です。

これが、他の調味料や食品素材との
相性を良くしています。

味噌は、醤油や牛乳などの液体や
油とも混じりあい、
料理の幅を広げてくれますよね。

また、液体のように
垂れたり漏れたりしないので、
素材としても使いやすいです。

この絶妙な中途半端さが、
私たちに与えてくれる好影響、
今回もご紹介いたします。


◆味噌の東洋医学的な効能

では、今回は東洋医学的な視点から
味噌が持つ効能を見ていきましょう。

「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」 

これは江戸時代のことわざです。

元禄8年(1695年)に発刊された
医学書である『本朝食鑑』には
「味噌は、わが国では昔から
上下四民とも朝夕に用いた」もので、
「1日もなくてはならないもの」と
記載されています。

そして、
「大豆の甘・温は気を穏やかにし、
腹中をくつろげて血を生かし、
百薬の毒を消す。
麹の甘温性は胃の中に入って
食の滞りをなくし、痛みを鎮めて
よく食欲を引き出す。
毎日吐き気をおさえ、腹下しを止める。
また、髪を黒くし、皮膚を潤す」
効果があるとしています。

※甘温性とは「甘性」と「温性」を
兼ね備えた食材という意味です。
「甘性」とは、甘味でのことはなく
消化器を補う作用を指す
中国医学の専門用語です。

この『本朝食鑑』の記述が
味噌に対する日本人の
基本的な認識となりました。

農家では、どんな飢饉の時にも
味噌の仕込みだけは
欠かさなかったと言います。

以上の味噌の東洋医学的な効果を
分かりやすくまとめると、
以下のようになります。


①温中(おんちゅう)

「温中」とは、簡単に言うと
お腹を温めるという意味です。

中国医学では、
身体の中央部にある消化器を
「中」という漢字一文字で表すことが多く
この「温中」も「消化器を温める」
という意味になります。

漢方薬の「大建中湯」「小建中湯」も
消化器を温めて機能を回復させる
方剤です。

そのため、胃腸の弱い方や
お腹が冷えて下しやすい方は
日々飲む味噌汁が心強い味方に
なってくれているのです。

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※参考に、僕が4年前に
Youtubeにアップした
「大建中湯と小建中湯」という
動画のリンクを貼っておきます↓

https://youtu.be/nMhGQEcDGqk?si=aRroL8dkv3slssja

4年前ですから、解説も稚拙で
少し恥ずかしいですが…(^^;)

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②降気(こうき)

「降気」とは、
身体の上部に昇ってきた気を
下に降ろす作用を表します。

胃の気は、通常は下に降りることで
正常な消化活動を行っています。

それが、何らかの原因で
機能が失調すると
胃の気が上に昇ってしまいます。

そのとき身体に表れるのが
しゃっくりや吐き気、
ゲップといった
胃気が逆流する症状です。

このような症状を専門用語で
「胃気上逆」と呼び、
治療の対象となります。

味噌は、その胃気上逆を鎮めて
正常に戻してくれる
ということです。


③解毒

「解毒」とは、体内の毒素・異物を
排出させる作用のことです。

国立がんセンター研究所の
故・平山雄博士のチームは、
全国の約27万人を対象とした
13年間にわたる疫学的調査の結果、
味噌汁を毎日飲む人の胃ガン死亡率は
飲まない人よりも低いことが
分かったのです。

この暮れの時期に
頻繁に行われる忘年会や
来たる年末年始での
食べ過ぎ・飲み過ぎなども
胃腸に負担をかけてしまいますよね。

味噌は、胃腸を整えることで
その「毒素」や「異物」を
解毒・排泄してくれる作用が
あるということです。

さらに、味噌汁の摂取量が多いほど、
乳ガンになりにくいという
研究結果もあります。

最低でも、1日1杯は
味噌汁を飲む習慣をつけたいですね。


その4に続きます。

誠真堂鍼灸院
東 洋史

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