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医食同源!日本食のチカラ 〜日本茶編⑨〜【東洋医学の智恵袋 vol.54】

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今回は、日本茶の香りが持つ
効果についてお話しようと思います。

そして、今回で日本茶編は
最終回です。

まだまだ書ききれないことが
たくさんあるのですが、
日本茶の魅力は
お伝え出来たのではないかと…。


◆日本茶の味わい深さ

日本茶の大きな魅力は、
その多様な味わい深さです。

日本茶の味だけではなく
鮮やかな色やフレッシュな香りなど
味覚以外でも楽しめる要素がある
優れた飲み物です。

特に、
ストレス社会に生きる私達にとって
香りによる心の癒やしは貴重で、
ホッとする瞬間を与えてくれます。

最近人気のあるアロマテラピーも
芳香植物から抽出した
香りのエキスである「精油」を使って
ストレス発散したり気分を和らげたりします。

また、僕の属する「中国医学協会」では、
「中医芳香療法部」を立ち上げていて
香りが人間の身体に与える影響を
伝統中国医学的に研究しています。

先日も、
東京で「中医芳香療法講座」を開催し、
会場を満席にしたようです。
https://j-tcma.com/archives/885

日本茶には、300種類以上の
香気成分が含まれていますが、
全てが解明されてはいません。

未知の香り成分も含まれており、
膨大な種類の成分が絡み合って
生み出されているのが
日本茶の独特な香りです。

緑茶の爽やかな香りの成分は
「青葉アルコール」「青葉アルデヒド」
と呼ばれ、心を落ち着かせ、
脳の疲労回復作用があると
言われています。

これらは、植物の青葉から放出されるため
「みどりの香り」とも呼ばれます。

さらに、「リナロール」「ゲラニオール」
「シスージャスモン」「インドール」など、
挙げればキリがありません。

ちなみに、リナロールはラベンダーに、
ゲラニオールはローズに含まれており
香料として重宝されています。

これら日本茶の香りを使う「茶香炉」が
近年人気が高まっているのを
ご存知でしょうか。

「茶香炉」とは、
日本茶の葉に熱を加えることで
香りを楽しむ香炉です。

家庭でも茶葉を焚いて
手軽に香りの癒しを得られる
リラックスグッズとして
にわかにブームになっています。


◆そもそも「香り」とは何なのか?

お子さんに「ねぇねぇ、香りって何?」
なんて質問されたら困るママさん、
結構多いのではないでしょうか。

子供に分かりやすく説明するのは
なかなか難しいですよね。

香りとは「気体になった化学物質」
のことを指します。
(子供には分かりにくいかな?)

つまり、液体が揮発して「気体」となり
空気中を漂うものが香りの正体です。

※揮発とは、常温・常圧で液体が
気体に変化することを言います

ですから、プラスチックなどの
揮発性がない物質は無臭です。

また、冷凍食品をレンジで温めたら
いい匂いがしてきた、なんて経験も
あると思います。

これも、
揮発性のない冷凍状態から
解凍されて揮発性のある状態に
変化したことにより、
香りを発する身近な例です。

そして、この「香り」を
中国医学では「気」と解釈します。

揮発して液体から「気体」に変化する。

「気」という文字が付いていますね。

だから、
その「気」が鼻から体内に入り、
リラックス・リフレッシュ作用、
イメージの明確化など
身体に良質な作用を起こすのです。

もちろん、
アンモニアなどの有害物質や
腐敗した食べ物からは
悪臭が放たれていますから、
その「気」を吸い込むと
気持ちが悪くなります。

食べ物を食べる時、私たちは無意識に
その匂いを嗅ぎます。

これは、その食べ物が放つ匂いから
本能的にその食べ物の安全性を
見極めようとしているのです。 

また、逆も然りで
美味しいという判断には香りも
大きく影響します。

例えば、美味しくない物を食べるとき
鼻をつまみますよね。

鼻をつまむと味覚が薄れるからです。

このことから、嗅覚は、
味覚とも密接に関係していることが
分かります。


◆嗅覚の大切さ

香りを脳に伝えるのは
「嗅(きゅう)神経」です。

この嗅神経は12種類ある脳神経の中で
「第1脳神経」とされています。

ちなみに、第2脳神経は「視神経」。

つまり、香りを脳に伝える神経が
視覚から得る情報を脳に伝える神経よりも
先にあるということです。

人間は、情報の8割以上を
視覚から得ています。

しかし、
脳神経としては嗅覚がその前にある。

ここに、
香りが人間にもたらす意味の深さ、
そして大切さが分かりますよね。

例えば、
人の印象を大きく左右するのは
外見はもちろんのこと、
体臭も要素の一つになります。

どんなにカッコいい男性を見ても
その体臭が受け入れられなければ
その男性を敬遠してしまう、
といった女性も少なくないでしょう。

すなわち、嗅覚は、より原始的な、
右脳的(感覚的・直感的)な感覚を
司るとも言えます。

決して論理的ではない、
本能的とも言える感覚が嗅覚。

また、前述の通り
視覚ではわからない食べ物の腐敗や
その毒性を臭いで嗅ぎ分けることもできます。

そして、
物事の本質を感じ取ろうとするときや
深くものごとを考えるときには、
人間は目を閉じます。

視覚からは、
あまりにも多くの情報が入り過ぎるため、
惑わされてしまうことも多いのでしょう。

考えてみれば、
人間以外の生物は視覚よりも
嗅覚が発達していますよね。

人間は、
嗅覚よりも視覚を優先してしまうため
嗅覚を十分活用できていないとも
言われています。

そして、
情報量の多い視覚を優先しすぎることが
疲れの一因になっているのかもしれないと
僕は最近思うのです。

このメルマガを最後まで
お読みくださった皆さんは、
きっと心身のお疲れを
日々感じていらっしゃるでしょう。

「少し疲れたな」なんて思ったときは
目を閉じて熱い日本茶の香りを堪能しながら
ゆっくりと味わう時間を作ってみては
いかがでしょうか。

日本史の授業で学んだ歴史上の人物たちも
同じように目を閉じてお茶を飲みながら
リラックスする時間を
作っていたのかもしれませんよ。

そんなことにも思いを馳せながら…


誠真堂鍼灸院
東 洋史

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