誠真堂鍼灸院

mail magazine backnumber

メールマガジン バックナンバー

医食同源!日本食のチカラ 〜梅干し編①〜【東洋医学の智恵袋 vol.40】

こんにちは!
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

今回から、梅干しをテーマに
その魅力をお話していきます。

梅干しは、梅の実を塩漬けしたあとに
天日干しして乾燥させたもので、
日本の伝統的な保存食です。

これまでご紹介してきた
海苔やゴマ同様、私たち日本人には
馴染みのある食材ですよね。

ただ、「梅干しは酸っぱいので苦手」
という方も少なくないのでは
ないでしょうか。

日本では、その歴史を紐解いても、
梅はその実を食品や薬用として
使用するよりも、
花を観賞用として楽しむ方が
主の時代が長くありました。

そして、「令和」の元号は
その「梅の花」と関係が深い
ということはご存知でしょうか。

「令和」の由来となったのは、
「万葉集」にある
大伴旅人(おおとものたびと)の
歌の序文です。

「時に、初春の令月にして、
気淑(よ)く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披(ひら)き、
蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」

この歌から二文字を取り
「令和」の元号が生まれました。

「人々が美しく心を寄せ合う中で、
文化が生まれ育つ」という意味が
込められているそうです。

万葉集は、
奈良時代末期(7世紀後半~8世紀前半)に
成立した日本最古の和歌集です。

天皇、貴族から下級官人など
様々な身分の人が詠んだ歌が、
4500首以上も集められています。

その中で、梅を詠んだ歌は
118首もあるそうです。

それに対して、桜を詠んだ歌は42首…。

このように、昔は花と言えば
まず「梅の花」を指していたほど、
日本人に愛されていました。


■梅干しの日本史

梅の起源は、「中国原産地説」と
「日本原産地説」があり
定説はないようです。

しかし、文献や学者の多くは
中国原産地説をとっていて、
それが一般的になっています。

特徴的なのは、
中国では生薬として梅の果実を
利用されてきましたが、
日本では上述の通りもっぱら
花の観賞用として広まったことです。

日本人は、古来から
「風情」という美意識を
重んじる傾向にあります。

可憐な梅の花は、
当時から多くの日本人に愛され、
花見といえば桜ではなく
梅を愛でることでした。

そんな日本で初めて「梅干し」が
記録として登場するのは
日本最古の医学書「医心方」です。

ちなみに、この医心方の編纂者は
俳優の故丹波哲郎さんのご先祖様である
丹波康頼(たんばのやすより)です。

そこには、
梅干しの効用について記述があり、
薬用として紹介されています。

しかし、当時の梅は
あくまでも花の観賞用。

梅の実は、一般の人々には
手に入らない貴重品で、
貴族など身分の高い人々のための
薬として、長い間用いられてきました。

食用として梅干しが広がったのは、
鎌倉時代です。

精進料理の一つとして禅宗の僧たちに
食べられるようになり、
それが次第に武士にも広がっていきました。

すると、激しい戦の場では、
梅干しは息切れを整え、
のどの渇きを癒してくれます。

さらに、梅が持つ抗菌作用から
水あたりや食中毒、伝染病を予防し、
さらに傷の消毒にも使えるなど、
不可欠な必需品として
重宝されるようになったのです。

そのため、全国の武将たちは
梅の木を城内に植えるようになり、
戦に備えるために梅干しの生産に
積極的に取り組むようになりました。

城下町に梅の名所が多いのは、
こんな理由があったのですね。

しかし、梅干しが一般庶民にまで
広がったのは、江戸時代に入ってからです。

江戸時代の梅干しは、
祝儀物としても扱われました。

また、当時の食事は「一汁一菜」と
おかずが少なかったため、
シソで赤く色付けされた梅干しは、
一般庶民にとって食を進ませる
有り難い副食品でした。

そのため、暮らしの厳しい農家は
庭に梅の木を植えて
梅干しを積極的に作っていたようです。

このように、梅干しが庶民に広がると
その梅の持つ効能も次第に認知され、
薬用としても使われるように
なっていきました。

その2に続きます。

誠真堂鍼灸院
東 洋史

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【東洋医学の智恵袋 vol.40】
このメルマガが必要な方がいらっしゃいましたら、
紹介して差し上げてください。
https://home.tsuku2.jp/merumaga_register.php?mlscd=0000213657

健康に活き活きと生きる東洋医学の智慧を
皆様にお届けいたします。

誠真堂鍼灸院公式HP
https://www.magokoro-shinkyu.com/

バルセロナ五輪金メダリスト
岩崎恭子さんとの対談記事
https://www.business-plus.net/interview/2208/k7271.html

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

メールマガジン バックナンバー

過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています。

メルマガを購読する