こんにちは！
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

３月９日、ネット掲示板「２ちゃんねる」の
開設者、西村博之さん（ひろゆき）が
Twitterで以下のような投稿をしました。

「プリン体が多く尿酸値高い人は非推奨。
というのをコオロギ食派は隠すんですよね」

これ以外にも、Twitterには
コオロギに含まれるプリン体の多さについて
たくさん投稿されています。

「コオロギに含まれるプリン体は半端ない」
「コオロギ100gに3141.93mgのプリン体」

などなど…

もし、本当に上記の量が含まれているとしたら
これは食品としてはかなり異常な量です。

今回は、その真偽について
確認してみたいと思います。


◆プリン体とは

プリン体は「健康に悪いもの」という
イメージが強いですよね。

ビールは他のアルコールよりも
プリン体が多く含まれていて
飲みすぎると痛風の原因になる、
なんて聞いたことがあると思います。

しかし、このプリン体、
体を動かすのに必要な
エネルギー伝達物質の一つで、
人間にとって一定量は必要になります。

体内のプリン体は、生命活動に利用され、
余りは肝臓に分解されて
尿酸として体外へ排出されます。

つまり、尿酸とは肝臓が
プリン体を分解したときに生じる
老廃物だということです。

そのため、プリン体を過剰摂取すると
血中尿酸値が上昇し、
高尿酸血症や痛風発症につながります。

では、このプリン体、実際はコオロギに
どのくらい含まれているのでしょうか。


◆研究リポートを正確に読むと…

ひろゆきさんの先程のツイートは、
米国立医学図書館の
「食用昆虫３種の幼虫期における
プリン体含有量とアミノ酸プロファイル」
という研究リポートを引用したものです。

実際に、その研究リポートには
以下のような記載があります。

「コオロギのニンフはタンパク質と
プリン体が豊富で、高尿酸血症や
痛風の方にはお勧めできません。」

この記載にある「ニンフ」とは、
幼虫を指します。

ということは、このリポートには
コオロギの「幼虫」はプリン体が豊富、
と書いてあるということです。

そして、成長に伴い
プリン体は減っていくようですので、
コオロギの成虫には幼虫ほど
含まれていないことになります。

また、初めに紹介した
プリン体含有量「100gに3141.93mg」
という数値も、同じ研究リポートに
記載されているものであり、
コオロギの「幼虫」の含有量です。

さらに、プリン体には
もともと尿酸が含まれています。

研究リポートにも、
以下のような記述があります。

「ただし、
このうち2218.81mgは尿酸であり、
プリン体と異なり尿酸を直接摂取しても
血中の尿酸値は増加しない」

つまり、
プリン体含有量である「3141.9mg」から
そこに含まれている尿酸「2218.81mg」を
引いた数値が、血中尿酸値を上昇させ、
高尿酸血症や痛風発症につながる
プリン体含有量ということになります。

3141.9mg－2218.81mg＝923.12mg

この数値が、コオロギの「幼虫」の
食品として懸念されるプリン体含有量です。


◆コオロギの「成虫」のプリン体は？

一般的に、食品100gあたり300mg以上
含まれている食品が
「プリン体が多い食品」とされています。

ですから、やはりコオロギの幼虫は
尿酸を差し引いたとしても
大量のプリン体が含まれていると
いうことですね。

では、コオロギの成虫には、
どのくらいのプリン体が
含まれているのでしょうか？

Wikipediaによると
コオロギの成虫のプリン体含有量は
メスが乾燥重量100gあたり601mg、
オスが696mgであるようです。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%82%AE

成虫になると、プリン体の量は
約３分の２程度になるようですが、
それにしても多いですよね。

他のアルコールよりも
プリン体が多いとされるビールでさえ、
100gに含まれるプリン体量は5.7mgです。

プリン体を気にしてビールを避ける人も
いると聞いていますが、コオロギは
もっと「ヤバい」ということですね…。


◆最後に

これまでの情報をまとめると、
コオロギに含まれるプリン体の量は
幼虫・成虫に関わらず
食品としてはかなり大量です。

今後、仮にコオロギ食が
一般的になってきた際
自分が食べるべきか控えるべきか、の
判断材料になると思います。

そして、現代はSNSをはじめとして
様々な情報が溢れており
その真偽を確かめるのはかなり大変です。

今回ご紹介した例のように、
決して正確ではないものも
少なからず含まれています。

ですから、今後もメルマガを通して
より正確な情報を皆さんに
お伝えしていこうと思っています。


誠真堂鍼灸院
東洋史


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