こんにちは！
十条銀座「誠真堂鍼灸院」院長の東です。

先月の19日、
徳島市で開催されたイベントに
ゲストとして参加した河野太郎大臣が、
乾燥コオロギを試食し「おいしかった」と
感想を述べたようです。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ2N6TSCQ2MPTLC00X.html

普段は、高級料亭で美味しいものを
食べているであろう政治家が
マスコミの前でコオロギを試食する。

これは、政治的な意図があると
考えて良いでしょう。

日本政府は、SDGsと絡めて、
昆虫食や培養肉開発を含む
「フードテック産業」を推しています。

※フードテックとは、食の「フード」と
　テクノロジーを組み合わせた造語です。
　最先端のIT分野を活用して
　食の持つ可能性を広げていくことが
　フードテックとされています。

コオロギ養殖の認定業者になると、
複数の手厚い支援が受けられるようです。

コオロギ事業にも多額の税金が
投入されているということですね。

しかし、
これまでコオロギを食べる文化を
持たなかった日本人が、
急激にコオロギを食べ始めて、
本当に安全なのでしょうか。

現時点で見え隠れする
コオロギ食を始めとする
昆虫食の問題点を
少しずつ解説していこうと思います。


◆イナゴとコオロギの違い

コオロギを食べることに
嫌悪感を示す人が多い一方で
「日本人はイナゴを食べてきたんだから
同じようなもの」という意見も
聞こえてきます。

果たして、本当にそうなのでしょうか。

私たち日本人の先祖は、確かにイナゴを
佃煮などにして食べてきました。

イナゴは、その名の通り稲が主食です。

そのため、
稲を食べる害虫とされると同時に
海産物が少ない山間部では
重要なタンパク源として
食用にされていました。

要するに、イナゴは稲を主に食べる
草食性なので毒性がなく、
食用にしても問題がないのです。

さらに、イナゴを食べることは、
稲を食べてしまう害虫の駆除にもなり、
一石二鳥だったということですね。

一方、前回のメルマガでもお話した通り、
コオロギは雑食です。

雑食とは、
すなわち「何でも食べる」ということ。

コオロギの「タンパク質欲」は
ずば抜けて強烈で、
「共喰い」はもちろんのこと
動物の死骸まで食べてしまいます。

動物の死骸を食べるコオロギを
食品として口にすることは
やはり安全性に問題があると
言わざるを得ません。

コオロギの「雑食性」は、
稲を食べるイナゴとは
食品としては同一視できない
理由の一つです。

前回は、この「雑食性」を
農作物の残渣を餌に育てられるため
食品ロスの解決にもなる、と
飼育する際のメリットとして
紹介しましたが、
実はコオロギを食品とする際の
安全性の面においては、
とても問題になるのです。

コオロギの飼育を行っている企業の
管理された飼育環境においては、
上記の心配はないという声もありますが
死んだコオロギを共喰いする危険は
本当に皆無なのでしょうか…。

コオロギ食にご興味のある方も
もう少し様子を見てから
口にしても良いような気がします。


◆中医学では「微毒」「妊婦は禁忌」

中医学では、様々な昆虫が
薬として使われていますが、
コオロギもその一つです。

蟋蟀 （しつそつ）という名前で
利尿薬として使われています。

そして、
その利尿作用が強力であるため
「微毒」がある薬とされ
「妊婦には禁忌」になっています。

利尿薬は、循環血漿量の低下に伴う
胎盤血流量の低下が懸念されるため、
原則として妊婦さんには使用しません。

母体の血液濃度を上げるため、
血栓のリスクも増大します。

そのため、妊婦さんや妊活中の方、
近い将来妊娠を希望する女性は
コオロギを口にするのは
慎重にお考えになった方が良いでしょう。

さらに、中医学では
コオロギを薬として服用する際の量は
「２～６個を煎服」、
もしくは「１回１～２個を焦がし
培って粉末にして呑服」とされています。

前回のメルマガでご紹介したとおり、
Pascoの「コオロギバケット」には
１個にコオロギ100匹分のパウダーが
入っているとのこと…。

バケット一つ食べるだけで
明らかに過剰摂取になってしまいます。

このような
先人が残してくれた知識に触れずに、
単に「良質な動物性タンパク質」として
口にしたり、贈り物としてしまうのは
お勧めできません。

口にするのであっても、
しっかりとした知識を
身につけておく必要があると
僕は思っています。

その３に続きます。


誠真堂鍼灸院
東洋史


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