ラーメン評論家 山本剛志

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【山本剛志のメルマガVol.008】閉店情報から見える今の日本社会

メルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
ラーメン評論家の山本剛志です。
このメルマガでは、ラーメンのそのものの情報だけでなく、
ラーメンに関連する色々な話をしていければと思います。

--目次--
1.山本剛志のコラム「ラーメン店の閉店は増えているのか」
2.ラーメンブックレビュー
3.ご質問受け付けます
4.SNSやってます

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1.山本剛志のコラム「ラーメン店の閉店は増えているのか」
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前回のコラムでも書いた通り、2017年から毎日更新するブログの「ラーメンニュース」で紹介する為に閉店情報をまとめています。それを数年続けている事で、「ラーメン店の閉店に詳しい」と呼ばれるようになり。2020年にはロイター通信がラーメン店の閉店についてまとめた記事で、取材を受けるまでになりました。
https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-japan-bankruptcy/japans-ramen-bars-struggle-to-stay-open-as-covid-hammers-small-firms-idUSKBN28333J
(英文です)

コロナ禍が世界を大きく変えた事もあり、ラーメン店も閉店が急増していると思われています。ただ、店舗数で数えてみると、著しく急減、というほどまでではありません。もともと、飲食店の中でも出店する為のハードルが低いと言われているラーメン店は、退店する為のハードルも低く、その分閉店が多い状況がありました。また、高度経済成長期に出店した店は店主の高齢化が進み、跡継ぎのいない店は閉店が続いています。もともとの閉店数も多い状況です。
コロナ禍の影響では、外国人を中心とした観光客が激減したり、安泰だと思われていた老舗店が急遽閉店したり、積極的に出店してきたチェーン店が一気に閉店するなどの話題で、閉店が増えたように見えますが、全体ではそこまで大きな変化はないようです。

そんな中にあって、特定の場所にある「食堂」の閉店が増えている事が気になっています。それは「役所」「温浴施設」「ホテル」。市役所などには職員用としつつも一般市民も使える食堂が用意されていましたが、コロナ禍で広い空間が敬遠されたり、弁当を持ち寄るなどの動きが定着して、食堂の利用者が減少しているようです。役所との出店契約が切れた3月末での閉店が多く報じられました。スーパー銭湯などの温浴施設も、コロナ禍の影響で来客が減っている事もあって閉館が多く、その中で「お食事処」として営業していた食堂も閉店になりました。観光客が急減した「ホテル」に出店している中華料理店も、ホテルの閉館と共に閉店したり、飲食店のみ閉店したりしています。

閉店店舗数としては、メディアが報じる程の「急増」ではないと思いますが、皆の思い出が詰まった飲食店の閉店は、少なくても残念な事です。コロナ禍で閉店を余儀なくされる店が減少し、新しい店が思うように出店できる社会になって、飲食店が切磋琢磨する状況に戻れることを願うばかりです。

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2.ラーメンブックレビュー
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ここでは、ラーメンや食に関わる、自分が読んだ本を紹介します。

『日本外食全史』(阿古真理,亜紀書房,2021)

amazon・楽天ブックスへのリンクは、こちらからどうぞ。
https://ameblo.jp/ramania/entry-12669085893.html
食を中心に日本の生活史を研究してきて、多くの著作を持つ阿古真理さんの最新刊。「全史」と名付けるにふさわしい、650ページを超える大作。前半170ページほどの第一部「日本の外食文化はどう変わったか」では、「包丁人味平」や「タンポポ」から始まって、ドラマ「グランメゾン東京」に至るまでのグルメに関する物語や、大阪万博から全国に広まっていった日本の外食文化の変遷をまとめている。

そして、後半は怒涛の400ページ強の第二部。「外食はいつから始まりどこに向かうのか」では、和食・居酒屋に始まり、肉料理・西洋料理、最後は中華料理からラーメン、餃子、カレーへと、ジャンル別の外食史がまとめられている。第一部同様に驚かされるのは、圧倒的な引用文献の多さ。ラーメンに関する書籍だけで10冊以上、全体では200冊以上の書籍を参考文献に挙げている。中華料理の項目では、戦前から町中華、バーミヤンから最近の発酵料理に至るまで、様々な視点からまとめられている。

ラーメンについては20ページ以上割かれていて、終戦直後の小麦政策によるラーメンの広がりや、環七ラーメン戦争、ご当地ラーメンブーム、96年組への変遷についてもまとめられた上で、「近現代日本を代表する日本食の一つ」と提示されている。それは日本において大きくアレンジされた食であると共に、主食とスープが一体になっていて、出汁に注目する機会が多い日本人気質にマッチしているという点で「日本人のソウルフード」とも評している。
(個人的には、アメリカでの「ソウルフード」の語義を考えると、気軽に使えない言葉とは思っていますが、多くの人が「日本のソウルフード」と呼ぶことには反対しません)

食全般を学ぶ人にとっての教科書としても重要であり、それぞれのジャンルの専門家にとっては、そのジャンルがどう語られているかを知るきっかけとしても役立つ一冊になっている。本文中で紹介されている参考文献を読むための入り口としても役立つ一冊になっている。

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3.「ご質問受け付けます」
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このメルマガで語ってほしいテーマ、知りたいことなどがありましたら、
以下の「ショップページ」の「お問い合わせ」からご連絡下さい。
https://home.tsuku2.jp/mypage/msgReceiveBoxDetail.php?targetUsr=0000129018
なお、「お薦めラーメン店を教えてください」というご質問も受け付けますが、
その場合は「エリア」「あっさりorこってり」のご指定をお願いします。
絞り切れないので(笑)

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4.「SNSやってます」
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以下の通り、SNSやブログもやっています。フォローいただければ幸いです。
Instagram:https://www.instagram.com/rawota/
Facebook:https://www.facebook.com/RamenYAMAMOTOTakeshi
twitter:https://twitter.com/rawota
ブログ:https://ameblo.jp/ramania
クラブハウスもやってます(rawota)

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編集後記:
ゴールデンウィーク、どこかに行きたいんですが、このご時世に派手に動くわけにもいかず、悩ましいものがあります。去年も全く同じ事を考えていました。
次回は5/1頃に発行予定です。

発行:合同会社山本たけし総合事務所
サイト:https://tsuku2.jp/yamamototakeshi
E-Mail:officeyamamototakeshi@gmail.com
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