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「月が綺麗ですね」は愛の告白。 西蓮寺です。

「月が綺麗ですね」とは愛の告白の言葉、と文豪は教えてくれました。それに対する素敵な返事は「あなたと見ているから」だと誰かが言ってました。なんともロマン溢れる・・。

 昨夜は中秋の名月、今年はいつになく綺麗にあらわれ大空を渡りきるまでよく見えました。
『 光をもたないものは 照らされて光る 』『 夜道を照らす 月となる 』
月は自らの力で光っていません。わたし達人間や草木にいたるまで全てのいのちを育むあの光と熱を持つ太陽の光を受けて光っています。照らされてその光を纏って光っています。

 世の中には素晴らしいひとがおられます。生き方も発される言葉も眩しいくらいに輝いて。
わたしなど程遠く平平凡凡たるもので片隅に潜んでいる等しく・・と卑下することなかれ!
光をもたぬ者は、照らされてその光を纏って光ることは出来るのです。闇夜に浮かぶあの月のように。
 そしてもっと暗い夜道を歩くひとの足元を静かに照らし導く力になるのです。

 赤ん坊は太陽ですね。そこに存在するだけで回りに笑顔を与えます、力をもらいます。よし、わたしもガンバルか!のパワーが。
 スポーツ選手応援もそうでしょうか。勝っても負けてもその「ひたむきさ」に心動かされ何故かこちらがパワーをもらいます。光り輝くものに触れるとその光がわたしの力となるという事は、今度はわたしがわたしの成すべき事をひたむきに成す事で誰かの歩みを手助けすることになるのです。  あの月のように。

 『 月影のいたらぬ里はなけれども 指さすひとのこころにぞ住む 』
夜道を歩きながら指さして親が子に言います。「ほら、綺麗なお月さま。」「ホントだね、キレイだね。」
 夜のこの世界をどこまでも隈なく照らしている月ですが、「ああ、月だ。」と見上げることなく足元だけ見つめて歩き続けるひとにとっては、月は無いと同じです。そのひとに月はありません。
 「綺麗な月だ」と見上げるひとのこころにこそ月はあるのです。  「お月さんのお蔭で夜道が歩きやすいなあ、ありがとさん。」 夜道を歩いていてもポッと明るいゆたかな時間です。

 お月さまは照らされてひたすら黙って照らしています。
「わたしが照らしてやってるから歩けるんやで。礼くらい言うていけ。」
     なんて言ってたら 「綺麗だなあ」も「お蔭さんやなあ」もありません。

「誰が出て来て照らせ言うて頼んだ!頼んだ覚え無いわ!」

  どこかで聞いたようなセリフが出てきます。気をつけましょうね。

                西蓮寺 住職 栗山知浩  拝

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