炭酸美容家 髙橋弘美|コスメ・美容・スキンケアを学ぶ

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日焼け止めと環境問題についてコスメを読む目線からvol.8

こんにちは。炭酸美容家髙橋弘美です!

今日は「化粧品と環境問題」について書きたいと思います。

2018年11月にBBCニュースで取り上げられていたニュースで、パラオ共和国が国として海の環境に悪影響が考えられる「日焼け止めの使用を禁止」したのをご存知ですか?

実は、それより前にアメリカのハワイが州もアメリカで初の取り組みとして「ケミカルな日焼け止め」を2021年から禁止にするということを決めていましたが、国としてはパラオが世界初です。

ケミカルな日焼け止めって何かと言うと、成分名でいうと、「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」や「オキシベンゾン」等を含んでいて、これらを総称して「ケミカルな日焼け止め」と表現しています。

そしてパラオやハワイがこれらのケミカルな日焼け止めの使用を禁止するというのです!!

ハワイは私は好きですがワイキキビーチをキレイだと思ったことはありません。

ビーチに人が多い時は、日焼け止めクリームの匂いがプンプンしていて、塗った日焼け止めの油が海に浮いているのが見えます。

ハワイは日差しが強いです。だからもちろんみんな日焼け止めを使いますよね。しかもとにかく観光地であるワイキキビーチは人が常に多い。

ああこれ「海を汚してるなー」といつも思っていました。

一方、パラオですが、年間6〜14,000トンの日焼け止めが人の体から洗い流されサンゴへ流れていく、というリサーチ結果があるそうです。

もちろん、日焼け止めの使用を禁止しただけですべてのサンゴが助かるわけではなく、海水の温度上昇や魚の乱獲などからも悪影響を受けているのは確かです。

でも、もし日焼け止めが海へ流れ出ていることもその原因のひとつであるなら…やはり私たち消費者もその「選択」について考える必要があるのではないでしょうか。

また、化粧品と環境問題といったところでは、「マイクロビーズ」も大きな問題になっています。(もちろんこれは化粧品だけの問題ではないです)

これを化粧品に配合する理由は、この小さなビーズが肌の汚れや古い角質を取り除くから。洗顔料 やボディウォッシュ、歯磨きなどの化粧品に配合されています。

いわゆる「スクラブ剤」とか「エクスフォリエーション」などと呼ばれているものに使われています。

以前は、天然のクルミを砕いたり、アプリコットなどの種を細かくしたものをスクラブ剤として使っていましたが、マイクロビーズが普及し、世界中で広く使用されるようになったんですよね。

マイクロビーズは超微粒子のプラスティックです。軽くて水に浮くため、排水処理施設では取り除くことができず、川に流れ、海へと流れていきます。

自然分解されないので生態系の食物連鎖に影響を及ぼしているということで問題になっているのです。

マイクロビーズを規制する動きは世界でも広まっていて、アメリカでは合衆国連邦法でマイクロビーズの化粧品への配合を禁止(2015年)、英国はマイクロビーズ製品の製造を禁止(2016年)、フランスも化粧品への配合を禁止しています。

この動きに伴って、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米P&Gフランスのロレアル、英・オランダのユニリーバが化粧品への配合を禁止しました。

日本の女性はあまりスクラブを使った洗顔は好まない人が多いですが、スクラブ洗顔は海外ではルーチンのスキンケア。だからニーズが高いんです。

化粧品へのマイクロビーズを禁止するのはいいけれど、その代替え原料をどうするのかで議論が続いています。大きな課題ですね。


しかし、これらを使っていないからといって本当に地球に優しいのか?ケミカルな日焼け止めじゃないから「サンゴに優しいーreef-safe」かどうかは実はまだまだわからない部分もあります。

そう、だって「酸化チタン」とか「酸化亜鉛」というナチュラルな日焼け止めだといっても、じゃあそれがナノサイズだったらどうなの?

とか。。。問題はとても深いのです。

でもこういうことにはまず国が動く、そして大手企業が先だって動くこと。そうでなければ世界は変わらない。

小さい会社がいくらがんばってもなかなか伝わらないし、なかなか広がらないから。

でも消費者がひとりひとり考え方を変えたらどうでしょうか?

それは大きく変わりますよね!

ケミカルサンスクリーンやマイクロビーズを使っていないからオールオッケーではないのですが、だからこそ少しでも環境に優しいというものを選ぶという消費者の協力が絶対に必要なのです。


私が10年以上伝え続けている「コスメを読む」は未来のコスメの読み方でもあるんですね。


コスメの読み方を知ると未来が変わる。世界が変わる!と本気で思っているのでみなさんにも「コスメが読める」ようになって欲しいな。



今日も最後まで読んでいただきありがとうございます。


【発行者】
炭酸美容家高橋弘美
ビューティーリテラシー
by コスメチックリエゾン


[参照]
Coral: Palau to ban sunscreen products to protect reefs
https://www.bbc.com/news/science-environment-46046064

Hawaii becomes first state to ban sale of sunscreens with coral-harming chemicals
https://www.staradvertiser.com/2018/07/03/breaking-news/hawaii-becomes-1st-state-to-ban-sale-of-sunscreens-with-coral-harming-chemicals/

全てのポリマー原料がマイクロプラスティックというわけではない
https://www.personalcarecouncil.org/wp-content/uploads/2020/04/INCI-and-Microplastics.pdf

Microplastics in cosmetics: Environmental issues and needs for global bans
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1382668918305635

Your Reef Safe Sunscreen Guide – 15 Sunscreens That Are Reef Safe
https://www.hawaii.com/blog/reef-safe-sunscreen/#:~:text=Hawaii%20is%20the%20first%20state,non%2Dreef%20safe%20sun%20protection.

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