炭酸美容家 髙橋弘美|コスメ・美容・スキンケアを学ぶ

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海外のハンドサニタイザー・手指消毒用アルコールの事情はどうなの?

新型コロナウィルスの影響を受けて世界の手の消毒剤(ハンドサニタイザー)の市場は 600%以上の成長予測というデータがあります。なんと、今年は、昨年の6倍で売上高は110億ドルを超えるだろうという。
アメリカのリサーチによると2022年ぐらいまでは需要が広がり続けると読まれています。


私の友人が重曹、クエン酸、石けん、アルコールでのナチュラルクリーニングを長年提案し続けていて私の周りにはアルコールを家庭で常備している方はすごく多いのですが、普通一般にはアルコールベースの消毒剤は家庭用としてはそれほど定着していないのが現状だと思います。


でも、新型コロナウィルスの流行によって今後、アルコール消毒剤が家庭での必需品になる可能性も高いのではないかなと私はみています。


また、日本は元々手洗いの習慣があるのでよっぽどの理由がない限り、手指消毒剤、ハンドスプレーやジェルを持ち歩くということはなかったかと思います。

なぜなら、どこへ外出しても手を洗う場所があるので手指用のアルコール消毒剤を携帯する必要性が低いからです。
でももしかしたら新型コロナウィルスの流行によってこれからは手指用のアルコール消毒剤を携帯するのが当たり前の時代になるかもしれませんね。


一方、海外ではちょっと事情が異なります。まずレストランやカフェでの食事の際におしぼりやお手拭きが出てくることはありません。公衆トイレなどの手洗い場にソープがないことも多いし、手を洗う場所も少ないです。

だからこそ携帯用のハンドサニタイザーはとても人気があります。最近のトレンドとしては、その「香り」にも様々なものがあり、フルーツやバニラ、ココナッツ、いちご、オレンジなどが人気だったりします。
スプレー式のものは少なくジェルタイプが多いのも特徴です。


欧米では手指の消毒を目的としたハンドジェルやハンドスプレーはアルコール(エタノール)が有効成分として一番よく配合されています。手指消毒用は、一般的ないわゆるスキンケアなどの化粧品とは違って効果効能が認められないと販売できません。日本の医薬部外品みたいな感じですね。でも国によって菌やバクテリアに有効なアルコールの濃度に若干差があるのも事実なんですよね…。


例えば消毒に用いるアルコール(エタノール)の殺菌効果は、日本薬局方(局方)では76.9~81.4vol%とされていますが、先日、厚生労働省より、化粧品グレードでもエタノール濃度が70〜83vol%の範囲内なら医薬品や医薬部外品の薬機法の規制を受けず、「消毒用エタノールの代替え品として手指消毒に使用できる」ことになりましたので日本ではエタノール濃度が70〜83vol%の範囲内が効果的とします。(これは前回のメルマガに書いています)


しかし、アメリカのハンドサニタイザー(手指消毒剤)商品を見ると、アルコール濃度60%台のものをよく見かけるんですよね。。。

なんでだろうと調べてみると米国の薬局方USP-NF(The United States Pharmacopeia-National Formulary)ではエタノール濃度は68.5~ 71.5vol%で少し日本の基準とズレがあり低めですし

WHO(World Healthcare Organization)のガイドラインでは60〜80vol%とあり、これもまたズレがあって幅がありますね。


これだと、実際にどの範囲でアルコール濃度がよいのかちょっと迷ってしまいます。私としては、日本の基準で考えておいた方が安心かなとは思います。WHOの60vol%を満たしていても、日本では60vol%では高濃度エタノールとは言えないわけですから。
だからもし、海外個人輸入例えばiHerbなどからサニタイザーを購入するときはそのアルコール濃度に注意ですね!



エタノールの他にどんな材料が使われているかでアルコールの濃度の調節には幅があるかもしれないと、仮説を立ててみると、こんな風に説明ができるかもしれません。(ここからは私の個人的な見解でちょっとマニアックな話になります。)


アルコールって肌を乾燥させますよね。だからアルコール入りの化粧水は乾燥肌さんにはとても嫌われています。アルコール濃度が99%だと消毒の効果が半減してしまうのはアルコールを手に取った瞬間にすぐに揮発してしまうからですよね。つまり、ウィルスをやっつける前に揮発してしまいます。アルコールが手指に作用している時間が長い方がしっかりウィルスをやっつけてくれるわけです。


アメリカのハンドサニタイザーはジェルタイプが多いです。ジェルの方がスプレータイプのものより、アルコール成分が手指に作用する時間が長い。だから60%であっても効果があるのかもしれません。
またこれを裏付ける情報として、花王の「アルコールと殺菌のコラム」を読んだのですが、作用時間を延長できればエタノール濃度が40%以下でも殺菌が可能という記載がありました。だから手に残る時間が長い、つまり作用時間が長い手指消毒剤はアルコール濃度が60%程度でもその効果があるのかなと。


一方、スプレータイプは手指に付けて擦り込むまでの時間がジェルと比べて短いですね。アルコールは早く揮発します。スプレータイプは作用時間が短いので60%程の濃度ではもしかしたら殺菌効果が十分ではない、つまり70〜83vol%の間の方がよいのではないか???これはあくまでも私の推測ですが…(笑)

いずれにせよ、迷うところではありますが、私のオススメはどんな形状(スプレータイプ、ジェルタイプ)であっても最低70%はアルコール濃度があった方が新型コロナウィルスに関しては安心かなと思います。


最後に付け加えると、実はpHを低くしたり、炭酸ガスを併用したりするとエタノール効果を高めるということが同花王のコラムに書かれています。実は、私が作っている炭酸のアルコールハンドスプレーはアルコール濃度が70〜83vol%に維持されてますが、特徴として、エタノール効果を高めると言われる炭酸ガスを併用していて、かつ、エアゾール缶に閉じ込めているため保管している間にアルコールが揮発していくのを防ぐことができるというものなのです。

こちらは、5月下旬くらいには発売予約スタートしますが、予約だけでソールドアウトの可能性は大ですが、もし余裕があればこのメルマガでもご紹介できるようにしますね。


fromCO2炭酸アルコールハンドスプレー(5月下旬〜順次お届け)
https://www.kirei-cosme.jp/beautyrelish/handsanitizer



ちなみに、新型コロナウィルスを除去するためにアルコールハンドスプレーを手指に使う場合には、アルコール食毒液が乾くまでよく手に擦り付けてください。必ず乾いた手で使うこと。濡れた手で使うとアルコールが薄まってせっかくの効果が半減します。アルコール濃度が正しいものを選び、そして正しく使うことが大事ですね!


最後まで読んでいただきありがとうございます。





参考:
ハンドサニタイザーレポート
https://www.arizton.com/market-reports/hand-sanitizer-market-2025
花王のコラム「アルコールと殺菌の話」
https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf#search=%27%E3%82%A8%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB+%E6%AE%BA%E8%8F%8C+%E6%BF%83%E5%BA%A6%27


【発行者】
炭酸美容家高橋弘美
ビューティーリテラシー
by コスメチックリエゾン


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