炭酸美容家 髙橋弘美|コスメ・美容・スキンケアを学ぶ

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滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌って何が違うの?コスメを読む観点から語ります!vol.3

滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌というこれらの言葉。消費者にとってはどれも同じように受け取れてしまうかもしれませんが、それぞれ意味が全く違うものになります。使われる場所、使われるもの、法律での定義もそれぞれ異なります。

簡単に一言でまとめると、

「滅菌」:菌を全滅させる
「殺菌」:菌をある程度殺す
「消毒」:毒を消す(菌を無毒化する)
「除菌」:菌を取り除く、菌の数を減らす
「抗菌」:菌の繁殖を防ぐ

という感じになりますが、滅菌、殺菌、消毒は薬機法で定められているもので医薬品や医薬部外品になり、承認許可がないと仮に殺菌、消毒する効果を有するものであっても、それを公に謳って販売、流通させることはできません。

例えば、アルコール70〜83vol.%を配合しているハンドスプレーがあったとして、確かに消毒効果がある。でもこれは「化粧品グレード」になるので、「除菌」、「手の洗浄」という表現までに留めておかなければなりません。

例えば私が製造している化粧品グレードのアルコールハンドスプレーはアルコール濃度が70%~83vol%で消毒効果はありますが「除菌対策」としています。
https://www.kirei-cosme.jp/beautyrelish/handsanitizer.html
(次の発売は5月20日ごろ)

除菌、抗菌に関しては、近年になって宣伝広告等でよく見かけるようになりましたよね。例えばわかりやすい例で言えばウエットティッシュ。これも実は、色々な種類があること、ご存知ですか?

よくパッケージを見ると、「除菌」というものと「消毒」という2種類があります。これはパッケージが似ているため、言葉だけではよくわからず、というかあまり意識もせず、なんとなく雰囲気で選んでしまう人もいるでしょう。しかし、全くカテゴリの違うものです。

除菌:雑貨レベルで身の回りのモノなどへの除菌
消毒:薬用になるので手肌に使うものです。よって「消毒」としての効能効果が認められているもの


一見すると、どちらも手肌に使えそうですし、「除菌」のウエットティッシュを手に使っても良さそうですし、さらに「ヒアルロン酸配合」なんて書いてあるので、本当に手にも使えそうだし、使っちゃいそうですが…実際に手に使っていいとも書いていません。
*モノによっては除菌でも「化粧品グレード」で製造している場合は、手指に使えると記載があります。

新型コロナウィルスに関していえば、これらのウエットティッシュに効果があるという保証は一切ありません。
では、市販にある医薬部外品の「手指の消毒液」「 薬用消毒スプレー」であれば全て新型コロナウイルスに効果があるのでしょうか?というと答えは、NOです。

今、ありとあらゆる「除菌」的なものが流行っております。次亜塩素酸水が良い例ですね。医薬部外品の「消毒用」であってもそれらが全て新型コロナウィルスに効果があるという確認が取れているわけではないのに、次亜塩素酸水に新型コロナウィルスの効果があるのか???考えてみればわかりますよね。

とにかく、今の時点で「新型コロナウィルス」を除去できるのは、石鹸による手洗い(20秒以上)で物質的に菌を洗い流すこと、とアルコール消毒(70~83vol%)によって感染力をなくす方法しかないのです。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大でアルコール消毒液の需給が逼迫しているため、ここに来て厚生労働省が一気に、規制緩和に踏み切りました。
ひとつは「アルコール濃度が高いお酒を消毒液の代わりに使用することを特例として認めた」こと。ただしこれはあくまでも医療機関向けで、かつ「やむを得ない場合に限り」代替え品として使っていいよ、という意味です。また一般家庭でのお酒を用いた手指消毒は含有成分によっては何が起こるかわからないのですすめていません。

もうひとつは、冒頭で記述したような化粧品グレードでも高濃度エタノール配合しているものに関して、薬機法の規制を受けず、エタノール濃度が70~83vol%の範囲内であれば販売事業者は、「消毒用エタノールの代替え品として手指消毒に使用できる」と記載してよいことになりました。ここで大切なのは、最終製品のエタノール(アルコール)の濃度が70%~83%の範囲にあれば「手指消毒用として使える」と広告できるので、その商品のラベルの裏側を見て成分の確認することが一番大事になってきます。

世界中でアルコール消毒液が足りていないのです。これだけ足りてないと、いつまでもアルコールだけに頼っている訳にもいきません。だからこそ、アルコール以外で新型コロナウィルスに効くものが必要なのです。

これらの背景があって、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が「界面活性剤(台所用洗剤等)」「次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)」第4級アンモニウム塩としてウエットティッシュに含まれる塩化ベンザルコニウム等を用いた消毒方法について、新型コロナウイルスに対する有効性評価をすすめるようです。

これらは原則、モノに対しての消毒を想定しているそうですので、また手指とは異なるとは思いますが続報に期待ですね。この結果次第では、界面活性剤(台所用洗剤等)や次亜塩素酸水をはじめ、塩化ベンザルコニウム等で抗菌効果を謳っているウエットティッシュも新型コロナウィルスに効果があるかどうかがはっきりします。

今は、次亜塩素酸水が新型コロナウィルスに効くかどうかは分からないのです。効くかどうかわからないものを使って免疫を下げる必要はありません。アルコールがあってもなくても、今は正しい手洗いが一番効果があり安全なのです。

こういう時だからこそ、「コスメを読む」を実行して欲しいのです。この知識を持っていれば正しく菌から守ることができます。

5月に久しぶりにオンラインでコスメを読むセミナーを行うのでよかったら遊びに来てください。またメルマガでお知らせしますね。


参考:
https://www.mhlw.go.jp/content/000620729.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000620807.pdf
https://www.nite.go.jp/information/osirase20200415.html
https://www.kao.com/jp/soudan/topics/topics_105.html
http://www.unicharm.co.jp/silcotwet/product/index.html

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