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「代表的日本人」を読みました。
「代表的日本人」(岩波文庫)は、内村鑑三が英語で日本人を紹介した本です。明治41年(1908年)と言いますから、今から百年以上も前に刊行されたものです。その「代表的」日本人は5人です。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮です。
この選び方には内村鑑三の特別は判断があると思われますが、読んでみると、いずれも「公」に生きた人たちだなあと言うことを感じます。現在よく言われる「利他の精神」でしょうか。とはいっても私が読んだのは、あくまでも日本語訳されたものですが。
内村鑑三はキリスト教徒ですが、キリスト教徒ではない日本人の中にも素晴らしい人物がいるのだということを外国に紹介するために、あえて英語で執筆したもののようです。
明治期にこのように英語で日本を紹介した人としては、「武士道」の新渡戸稲造がおります。さらに岡倉天心は「茶の本」で日本文化を紹介しています。いずれも現代人でも困難なことをあの時代にやり遂げているのです。
この「代表的日本人」の中で、どれも魅力的な人物たちですが、2番目に紹介されている上杉鷹山は、私も大好きな人物の一人です。若くして米沢藩の藩主となり、藩財政を立て直し、藩全体を魅力的な藩にしました。まるで無一文から超一流の上場企業にしたようなものです。
徹底した倹約、不断の努力、成功するまであきらめないメンタル、どれをとっても超一流の人物です。まるで京セラの稲盛和夫会長を見ているようです。
ちなみにこの人物たちの取り上げ方は、時代をさかのぼっているだけであって、決して序列をつけているわけではありません。西郷隆盛が内村の時代に一番近く、日蓮が一番遠いと言うだけのことです。
岩波文庫(青119)720円+税です。
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