善徳山農園

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畑を目の前にして。

前回まで、廃菌床、チップ、モミガラなどについて浮かぶところを書いてみました。随分と分かったような事をいってますが、初めて畑を目の前にしたとき。いくら地主の許しを得ているとはいえ目の前に広がる光景は全て自分の立案でしか変える事は出来ないのだと気が付きます。
自分の背丈より高いお茶ノ木。関係ないと思っているときは、長い間農薬で悩ませておいて本当にしょうがないなあ、愚痴だけ。切ってもいいよ。掘ってもいいよ。自由にやってくれ。言葉は有り難いが、自分に何のプランがない事に気が付く。えーっ、どうやってこの木を抜くんだい。抜いた木をどう処理して目の前から消すのか。茶の木が残ってちゃしゃれにもならんが何も出来ないんだよ。トラックで走っているときゃ、会社の指令であっち行ってこれ積んで何処で下す、指令に従って動いていれば一応仕事をしていることになって給料はもらえて一応の生活は出来た。これからは指令を自分で出すのだ。

森町で畑をやっている人の集いがあると聞き行ってみる。みんな軽トラで来るとこへオデッセイで行った。何か場違い。農業指導員していたといううってつけの方にお茶の木はどうして抜くのですか。まあ挨拶でこれから畑始めるものです、いってあるものの恥ずかしさ、この年でわけのわからん事をしようとする自分の立ち位置でさえよくわかっていない自分に複雑なもやもやな気持ち。

榊原さん、現在のかの町の農業の基盤を指導されてきた方だった。一本ずつチエーンブロックで抜くかユンボで抜くだな。ツルの一声。ユンボだな。腹決める。どこで借りようか。建機リース電話、なかなかの金額。計画がないので土木業者に見積もるなんてこた頭に浮かばずに自分でやろうとしている。そんな時、この地域で70ヘクタール田んぼやってるあまり面識はないが業者を思い出して電話してみる。「あのうユンボ貸してもらえますか。」「ああ、あんたの家から300メートル位のとこにあるで使えばいい。」「ええっ、ホントですか。」信じられない展開。泥だらけの田んぼにユンボ。ドアを開けてカギを差してセルを回す、ドロロッ、エンジンがかかる。何年か前土建屋へバイト行ってるとき何とかいう資格だけは取ってあったので、やったこたないが運転できるのだ。どこをどうする、このレバーこうするとああ、こうなる、んでこれがこうで、ああこうか。ガキが遊んでる気分に戻っていく。公道をガチャガチャやりながら畑へ。ままよとバケットを土にグサリ。手前に引きながら上に、頭で考えても手は思ったように動かないし当然ユンボの動きは滅茶苦茶。話にならん。それでも夢中でやる。段々と頭の考えとバケットの動きがリンクしてくる。待てよ、ワイヤーを巻いて上に引っ張ったほうが良さそうだ。ここからどこかへ持ってく訳じゃないからこっち抜いてここへおいてまとめてここへおく。やっていると次から次へとこうした方がいい、ああしようとアイデアがうかんでくる。

何を隠そうこの行動がアイデアを生み出す、これが今でも善徳山農園の無で或る空から有であるいのち溢れる野菜が出て来る原点なんだなあ。
何もわからないって恥ずかしいことじゃない、やろうと行動しない事が悲劇なのだと学んだ一つです。

眠くなったから今日はここまで。最後まで読んでいただきまして有難うございます。

善徳山農園
水谷正寿

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