ラーメン評論家 山本剛志

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【山本剛志のメルマガVol.006】ラーメンイベント再生元年なるか?

メルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
ラーメン評論家の山本剛志です。
このメルマガでは、ラーメンのそのものの情報だけでなく、
ラーメンに関連する色々な話をしていければと思います。

--目次--
1.山本剛志のコラム「ラーメンイベント再開へ」
2.ラーメンブックレビュー
3.ご質問受け付けます
4.SNSやってます

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1.山本剛志のコラム「ラーメンイベント再開へ」
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ここ数年、日本各地で広がっていたのが「ラーメンイベント」。広い会場に複数のラーメン店が出店し、目当てのラーメン店を目指したり、複数のラーメンを食べ比べたり。ラーメンの人気やバリエーションの豊富さで、フードイベントの中でも注目度は高く、2019年には、北は札幌から南は鹿児島まで、60件以上のイベントが開催されていました。

そのブームも、コロナ禍で大きな影響を受けました。感染者が増え始めた2020年2月末、第一幕までは開催されていた「高知ラーメンまつり」の第二幕が中止になって以降、春に予定されていたラーメンイベントは全て中止になりました。出店予定だった店主によると、GWに予定されていたラーメンイベントの中には、秋の連休への延期を検討した所もあったようですが、その案が日の目を見ることはなく中止に。日本ラーメン協会が関わる「札幌ラーメンショー」「東京ラーメンショー」も、2020年は開催されませんでした。

ラーメンイベントが開催できたのは、その会場に多くの人が集まるから。ラーメン店以外にも広告効果がアピールできたからと考えられます。「多くの人が集まる」事が避けられる為にイベントが開催できなくなる一方で、2020年10月には「お取り寄せ 北陸ラーメン博」、12月からは「森ちゃんのラーメンフェスタリモート」が通販ラーメンを紹介する形で開催されています。どちらも、地元テレビ局の人気イベントという実績があり、テレビやSNSでのアピールが功を奏しています。

ラーメンイベントが一斉に中止されてから一年強、コロナ感染対策の非常事態宣言が3/21で解除されると決定された3/18から「全国ラーメングランプリ」が開催されています。場所は新宿駅西口駅前、「スバルビル」跡地の広場で3/28まで(3/23は休業)。この会場では前週まで「全国餃子グランプリ」が開催されていて、ビールイベントで知られる「オクトバーフェスト」実行委員会が運営している模様です。それだけに感染防止対策や「密」防止にも実績がありそうですし、屋外イベントは屋内よりは感染防止になるかなとも思います。

今週末の21日には山形県天童市で「東北ラーメンストリート」の開催が予定されていますが、その後のイベント予定はまだありません。もちろん感染防止に万全を期する必要はありますが、徐々にラーメンイベントが広がり、新たなラーメンブームの発信地になってくれる事を期待しています。

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2.ラーメンブックレビュー
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ここでは、ラーメンや食に関わる、自分が読んだ本を紹介します。

『いつか中華屋でチャーハンを』(増田薫,スタンド・ブックス,2020)

amazon・楽天ブックスへのリンクは、こちらからどうぞ。
https://ameblo.jp/ramania/entry-12663091564.html

今回紹介するのは、ソウルバンド「思い出野郎Aチーム」でサックスを担当している増田薫さんが、WEBサイト「ジモコロ」で連載していたコミックエッセイが書籍化された一冊です。中華屋を巡って様々な味を紹介する本は少なくないですが、目次を見ただけで、この本が独自路線である事に気づきます。「カツ丼」「シチュー」「オムライス」「カレー」…。「中華って何?」と言いたくなる戸惑いは、増田さん同じく抱いたらしく、恐る恐る口にして、直後に笑顔になる様子が伝わってきます。

いわゆる「ラーメン専門店」とも異なり、「中華料理」では括りきれない中華屋さんの魅力的なメニューを軸に、全国へ足を運んでいます。日本風に味が変化したり、名前が変わっていく新鮮な驚きが、シンプルな絵柄で表現されています。第1話は「中華うどん」で、「ラーメンのスープにうどん」と「うどんつゆに中華麺」の2種類が登場するところから楽しめます。

中華料理をテーマにしているので、「ダル麺」や「バンメン」などの麺類や、「大勝軒@祖師ヶ谷大蔵(生姜焼き)」「みたか@三鷹(ビール)」「高安@京都(唐揚げ)」といった、ラーメンで知られる店の出番もありますが、普通のラーメンは出てきません(笑)。

この本のいい所は、写真を一切使っていない点。編集者からの提案に「おいしそうに描いたるわい!」と手描きを貫いています。もちろん伝わりやすさでは写真に軍配が上がると思いますが、手書きされた料理がどれも、増田さんの思い入れがひしひしと伝わってきて、それでいながら微妙に分からない部分が「これは実物を見て食べないと」と飢餓感を煽られてしまいます。

「ご当地ラーメン」にも様々なスタイルがありますが、中華屋にはそこに書ききれない個性的なメニューがあり、広島の「天津飯」のように、「ご当地料理」ともいえる存在が各地に溢れています。そして何より「きっと誰かの故郷の味」。美味しさだけではないが、雰囲気に浸かりきって味を否定してしまうスタイルでもない、そんな語り口がこの本では貫かれています。

書名は、中華屋の定番であるチャーハンを食べたいという連載中の思いからきていますが、最終章では「野方ホープ」でチャーハンを食べて締めています。チェーン店でも、作り手によって味が変わる。そして、作り手の一人一人の人生に想いを馳せている様子に、増田さんの視線の温かさと、その向こうにある料理の味わいを感じ取ることができます。

連載中にコロナ禍があり、外出取材が難しかった苦悩も語られていました。「オリジナルを伝えたいという感覚で出す料理」に敬意を払う増田さんの視点は魅力的で、本業にバンド活動もある方にお願いするのもなんですが、続編も期待してしまいます。最後に、あとがきに書かれた一文を引用して書評を終わります(p255)。

>なくなってしまう
>料理もあるかもしれないし
>それはすごく悔しいけど
>日常にある料理とお店
>そこで働いてる人を
>大切にすることも忘れては
>いけないのであった

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3.「ご質問受け付けます」
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このメルマガ、まだまだ方向性が決まっていません(笑)
語ってほしいテーマ、知りたいことなどがありましたら、
以下の「ショップページ」の「お問い合わせ」からご連絡下さい。
https://home.tsuku2.jp/mypage/msgReceiveBoxDetail.php?targetUsr=0000129018
なお、「お薦めラーメン店を教えてください」というご質問も受け付けますが、
その場合は「エリア」「あっさりorこってり」のご指定をお願いします。
絞り切れないので(笑)

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4.「SNSやってます」
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以下の通り、SNSやブログもやっています。フォローいただければ幸いです。
Instagram:https://www.instagram.com/rawota/
Facebook:https://www.facebook.com/RamenYAMAMOTOTakeshi
twitter:https://twitter.com/rawota
ブログ:https://ameblo.jp/ramania
クラブハウスもやってます(rawota)

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編集後記:
今回紹介した「いつか中華屋でチャーハンを」は、「味の素食の文化センター」から借りてきました。
https://www.syokubunka.or.jp/
図書館機能の他、食文化展示室もあり、食文化に興味を持つ方に一度は訪れてほしい場所です。毎日蔵書を紹介してくれるFacebookページも必見です。
https://www.facebook.com/ajishokubunka
次回は4/1頃に発行予定です。

発行:合同会社山本たけし総合事務所
サイト:https://tsuku2.jp/yamamototakeshi
E-Mail:officeyamamototakeshi@gmail.com
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