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メールマガジン バックナンバー
133.『花』を探しさまよう
地震の影響で新幹線の運休が続いており
本日予定されていた福島市での講演が
延期になって時間ができたため
Amazon primeで目に付いた
「相棒-劇場版Ⅱ-警視庁占拠!特命係の一番長い夜」
という2010年の年末に封切られた映画を見ました。
水谷豊さんが主演の刑事ドラマの映画版で
その頃は及川光博さんが相棒役でした。
【すみれ色の研究】
それを見ていて、当時TVドラマの方で
HTLV-1を扱った回があったのを思い出し
調べてみると、すぐに分かりました。
http://mysterytuusinn.seesaa.net/article/236623210.html
(相棒 season10-第7話「すみれ色の研究」
2011年11月30日放送-ネタバレ批評)
ATL(成人T細胞白血病)で妻を亡くした研究者が
HTLV-1(縄文ウイルス)のキャリアである娘のために
ローズマリーに含まれる成分から
HTLV-1の治療薬を作る研究を続けており
犯罪者と疑われるのも厭わず
娘には秘密にしていた、という事実が
クライマックスで明かされます。
上記のレビューの文章には
「真相を教えることは死の危険を教えること。
だから、教えられなかった」
と表現してありますが
いくら妻を亡くしているとはいえ
そんな不治の病のような捉え方を
しなくてもよいのです。
女性の場合、キャリアの生涯発症率は
2%程度とされているので
他の理由で寿命を終える可能性の方が
圧倒的に高いのです。
(131.『胸元』参照)
【縄文ウイルスの説明3回目です】
HTLV-1の主要な感染経路が母子感染で
母乳を介する移行が圧倒的に多いため
「ATLを予防する唯一の方法は
母乳を飲まないようにすることだ」と
一般的には説明されます。
母乳を飲ませても
3ヵ月までの短期授乳に留めた場合は
最初からミルクだけの場合よりも
キャリア化率が低い、という結果が
出ている研究もあります。
(母乳を飲んでいないのにキャリア化する場合は
在胎時あるいは分娩時に移行したと考えられる)
しかし、5-6ヵ月以上の長期間に渡って
母乳を飲んでいるとキャリア化率が明らかに上昇するため
いったん飲み始めた母乳を止められないことを懸念して
最初からミルクだけにした方が良いような説明が行われ
母乳育児を諦める母が多いのが現状です。
母がキャリアであった場合に
生後5-6ヵ月を超えて母乳哺育を行うと
お子さんへの移行率は20%前後になりますが
それ以降さらに長期間に渡って母乳を飲ませ続けても
その率はあまり変わらないと考えられています。
【縄文ウイルスで死ぬ確率】
そして『胸元』の回で述べたように
母乳を介してキャリアとなった場合は
40歳を過ぎてから年率0.1%程度の割合で
ATLを発症します。
発症率には男女差がありますが
平均すると生涯発症率は5%程度です。
(40歳から50年間生きるとして
0.1% × 50年 = 5% という割合)
特に制限なく母乳を飲ませた場合と
最初からミルクだけにした場合を比較してみると
生涯ATL発症率=約5%
特に制限せず母乳を飲ませた場合には
移行率=20%前後
つまり、母乳で育てた子が
将来ATLになる可能性は約1%
(0.05 × 0.2 = 0.01)
母乳を全く飲まなかった場合でも
移行する可能性はゼロではない(約3%)ので
将来ATLになる可能性が約0.15%
(0.05 × 0.03 = 0.0015)
逆に言うと母がキャリアであった場合に
HTLV-1を気にせず母乳を飲んでも
その赤ちゃんのうちの約99%は
ATLにはならない、ということです。
ATLは発症してしまうと短期間で命を落とす
不治の病である以上は、それを99.85%にする
母子感染対策が必要なのでしょうか?
しかし、40年以上も先に百分の一の確率で
起こるかどうかの問題のために
母乳の恩恵から母と子を遠ざけるのは
妥当なことなのでしょうか?
【縄文の血を受け継いでいる】
昨日のメルマガでも言いましたが
キャリアになることを恐れて
母乳を控える必要なんてないのです。
太古の昔から共に生きてきたウイルスには
共生してきた理由があるはずです。
ウイルスは敵ではない。
その発想を根本に持ってほしいのです。