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メールマガジン バックナンバー
『人間、得意なものにこそ 足をすくわれる。』 西蓮寺です。
「登ったら降りなくてはならない」木に登ったら降りなくてはなりません。いくら木登りが上手なひとでも登りっぱなしという訳にはいきません。せめて陽が暮れるまでには。山に登っても下山しなくては。降りるところがあるから安心して登るんでしょうが。
その降り方がムツカシイんだそうです。
木登りするひとは登る途中で落ちたり、テッペンから落っこちたりは少ないそうです。一番危ないのは、降りる時。しかも後少しで降りきるってところが危ないそうです。 落っこちる。
登る時は緊張してますし高い所は慎重に慎重に気をつけます。「もう大丈夫だ」と思ったところが一番危ないんだそうです。 落っこちる。
だから木登り上手なひとは降りる時こそ気を付ける、それもあと少しで降りるもう大丈夫だってところを一番気をつけるものだそうです。知らんけど。 いや、そうだそうです。
言われてみれば、人生もそうですね。
何かを始める事は大変でパワーが必要ですし、「継続は力なり」と言われるほど続ける事は難しい事で強い精神力がいります。そして、仕舞う時もこれまた難しいものです。上手なやめ方。始める時にも続ける時にも沢山の方にお世話になっているに違いありませんので、どなたにもご迷惑おかけしないように上手に仕舞う事には細心、こころくばりが必要です。
そんな事知るもんか、とっ散らかしてなる様になればいい! ではないでしょう。人間ですから。すべての人は繋がってある・すべてのものは繋がりによって持ちつ持たれつ互いに支え合ってある・・と知っている人間なんですから。
鳥でさえ「立つ鳥、後を濁さず」って。
お坊さんだから、「 人生の最期の仕舞い事を考えて、寺参りしなさい 」って言ってるわけではありません。(それも大事です大事です)
思うに、『 仕舞い事の大事さ 』を知っているひとは、心得ているひとは、木に登る途中も、登り切ったところからそれまでは見えなかった景色を眺めている時も、マチガイがないであろうという事です。 マチガイをもたない。
『 慢心 』ある事なかれ。
寒くなります、お身体お厭い下さいます様念じ申し上げます。
西蓮寺 住職 栗山知浩 拝