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お盆、西蓮寺です。

今朝、「チコちゃんに叱られる」でお箸の話題を見て思い出したお話ひとつ。
苦しみと迷いの世界「地獄」「餓鬼」。
そこには食べるものが無く飢えに苛まれていると思われがちですが、
実はご馳走があふれているんだそうです。
ただ、お箸が長い。2メートル。
いくら頑張ってみても食べられない。手で掴んで食べようとしてもそれは番人の鬼達が許さない。
無いのも辛いですが、目の前にあるのに食べられないのはもっと辛い。
皆して血眼になってひもじいひもじいと阿鼻叫喚。

そしてまた一方、浄土極楽の世界のお箸も同じく長いんだそうです。
ただそこではみんなお腹一杯、2メートルのそのお箸使ってもニコニコ。
それは自分で食べるのではなく、お箸でつまんだものを
「どうぞ、あなたからお先に食べてください」
と2メートル先の方に差し出しておられる。
「まあスミマセン。あなたもどうぞ、美味しいですよ」
「これはこれは、ありがとうございます」

地獄も極楽も条件は全く同じ!
一方では互いに相手を思い合い、相手を先にする。
一方では「わがの満足」しか考えず回りの難儀している人など見えていない。
苦しんでおられる叫びの声も聞こえない。
後者、これを「地獄」といいます。

死んだ後の世界なんかではなくて、今ここわたしのあり様のひとつが「地獄の時」でしょう。

どんなに自分はお腹が空いていても子供に食べさせている姿。
それはひとであっても動物であっても・・。浄土の香りがする時ですね。

『同じものを見ても、そのこころによって見える世界はちがう』
 ・・・そのお話はまた、今度。

時節、ご自愛念じ申し上げます。

         西蓮寺 住職 栗山知浩  拝

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