かむ達の雫

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春分は“ゼロフィールド”〜祖先・菌・命が動き出す日〜

本日23時46分は春分点を迎えます。
この春分という節目を、どのように過ごされていますか?

春分は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日。
陰と陽が完全に調和する、とても特別なタイミングです。

この瞬間は、いわば「ゼロフィールド」。
どちらにも偏らない、完全にニュートラルな状態です。
だからこそこの日は、過去の思い込みや不安、余計なエネルギーを手放し、新しい自分へと切り替わる“再起動のポイント”になります。

昔の日本では、この春分は単なる暦の一日ではありませんでした。
「彼岸の中日」とされ、ご先祖様とこの世が最も近づく日と考えられてきました。

さらに戦前までは「春季皇霊祭」と呼ばれ、天皇が歴代の天皇、つまり祖先を祀る大切な儀式の日でもありました。
戦後に「春分の日」という名前に変わりましたが、本来の意味は、祖先と繋がる神聖な日であることに変わりはありません。

また、農耕の視点から見ても、春分はとても重要な日でした。
太陽の動きを基準に生きていた昔の人々にとって、春分は「ここから農作業が始まる」という合図。
命を育てる一年のスタートでもあったのです。

そしてもう一つ、見逃せない大切な視点があります。
それが「菌」の存在です。

昔の日本人は、発酵という現象を通して、目に見えない働きを感じ取っていました。
米や大豆が、ある日突然、香りや味を変え、保存が効くようになる。

現代ではそれを菌の働きと知っていますが、当時の人々にとっては、目には見えないけれど確実に働く力でした。
この感覚が、「見えないもの=神の働き」という捉え方へとつながっていきます。

風や水、火と同じように、菌もまた、命をつなぎ、世界を動かす存在。
だからこそ日本では、麹菌が「国菌」として大切にされてきました。
菌は単なる微生物ではなく、命を支える存在として、どこか神聖なものとして感じられていたのです。

そして春分は、その菌たちが一斉に目覚めるタイミングでもあります。
冬の間静かだった自然界の菌や、私たちの腸内細菌が、太陽のエネルギーの変化とともに活性化し始める。
だから昔の人はこの時期に、山菜の苦味で身体を目覚めさせ、味噌や発酵食品を取り入れて、菌の働きを後押ししていました。

春分とは、心・身体・自然、そして菌までもが整い、動き出す特別な日。
ゼロフィールドというニュートラルな状態だからこそ、ここで決めたことは、これからの流れに大きく影響していきます。

もし今日、味噌汁を一杯飲むなら、ただ栄養を摂るのではなく、「命と共に生きている」そんな感覚を少しだけ意識してみてください。
そして、これから自分はどう生きるのか。
どんな在り方で進んでいくのか。
静かに決めてみてください。

春分は、ただの通過点ではなく、本来の自分に戻り、新しい流れに乗るための扉です。
その扉は、もう開いています。
あとは、一歩踏み出すだけです。

渡邉裕佳子

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