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【第4回】仕事か、家族か。「絶対休めない日」に起きたこと
【全11回連載ストーリー:第4話】
こんにちは、菊地です。
家族の一大事にも仕事を優先してしまった自分。
そこで何かが崩れ落ちた私は、
ついに「介護休職」という決断をします。
でも、そこで待っていたのは、
「何者でもなくなること」への強烈な恐怖でした。
私はようやく、「決断」に向き合うことになります。
会社に介護休職を申し出たのは、54歳のときでした。
だけど正直、恐怖でした。
介護休職の先に、いつ復職できるかもわからない。
もしこのまま辞めたら——
私は何のスキルで、何の資格で生きていけばいいのだろう?
頭に浮かんだのは、若い頃に取得した資格ばかりでした。
ワープロ検定、速記士。
今さら、誰がそれを評価してくれるというのでしょうか。
“私”という存在が、会社の看板や肩書きによって
形づくられていたことを、
そのとき初めて知った気がします。
未来を想像すると、手が震えました。
“無職の私”が、真っ暗な部屋で、
ひとりで座っている光景が浮かび、
ぞっとしたのです。
介護よりも何よりも、
「役に立たない存在になってしまう自分」が
怖かったのだと思います。
そんなとき、会社の人事課にいた友人が、
ぽつりと言いました。
「たつきさん、社労士向いてるんじゃない?」
その一言に、私はすがるようにして
社労士講座のパンフレットを取り寄せました。
受講料は決して安くなかったけれど、
もう他にしがみつけるものがなかったのです。
何かになりたいのではなく、
「何者でもなくなる」ことへの恐怖から
逃れたかったのです。
(続く)