炭酸美容家 髙橋弘美|コスメ・美容・スキンケアを学び・使うサロン

mail magazine backnumber

メールマガジン バックナンバー

その効果は本物ですか?越境EC時代の化粧品選び

こんにちは。炭酸美容家の髙橋弘美です。

先日友人が「これ見て!手持ちのクリームに混ぜるだけで肌がツヤツヤに輝くんだって!」と嬉しそうにパッケージを見せてくれました。表示は日本語じゃないし、成分表もない。「これ日本で買ったの?」って聞いたら「うん、ネットで買ったから」と。どう見ても日本国内の配送ではない…。

そうなんです!今や、私たちのまわりには、世界中の化粧品があふれています。韓国、ヨーロッパ、アメリカなどなど、スマートフォンで数回タップするだけで、海外のコスメがあっという間に自宅に届く時代。特にQoo10のような越境ECモールでは、韓国産の化粧品がとても安く、まるで国内商品を買うような感覚で手に入ってしまいます。

でも、少しだけ立ち止まって、考えてみてください。

最近、こんな広告表現を目にしたことはありませんか?
「シミがスッと消える」
「シワがピンと張る」
「塗るだけで10歳若返る」
「肌がググッとリフトアップ」

見る人を惹きつける、インパクトのある言葉ですよね。思わず「すごそう!」と感じるかもしれません。でも、日本国内では、これらの表現は薬機法等によって明確に禁止されています。

もう少し詳しく説明します。日本の化粧品メーカーは、主に「薬機法」というルールのもとで広告表現を行なっています(他にも景品表示法とか色々ありますがここでは省略)。

でも訴求できる化粧品の効能効果の範囲は、わずか56項目しかないんです。そして、その範囲の中で効果効能を謳ったとしても成分や文脈に細心の注意を払うことが求められます。とっても厳しいんです。

つまり、私たち国内メーカーは、この限られた範囲の中で、言葉を慎重に選び、裏付けを整え、誠実に化粧品の広告をして消費者の皆様へお届けしているのです。

だからこそ、「シワが取れる」などと自由に表現できる海外からの製品があたかも“優れている”かのように消費者が受け取ってしまう現状は、とても残念に思うことがあります。

【責任の所在が見えにくい】
誤解してほしくないのですが、私は決して「海外の化粧品=危険、悪」と言いたいのではありません。私自身、20代の頃から長年にわたり海外で化粧品のルールやその開発、化粧品市場に触れてきました。その国ごとに素晴らしい技術や美容文化があることは、よく知っています。

国によって、メーカーがエビデンスを持っていれば広告表現の規制に、ある程度の自由があることもあり、「若返り」や「リフトアップ」などの表現も許容されていることもあるでしょう。

でもそんな商品が日本語で、日本人の私たちに向けて販売されている。それが、越境ECの現実です。

そして大切なのは、こうした化粧品が「個人輸入」という形で購入されている限り、何かトラブルがあっても日本の薬機法では守られないという事実です。

法律が追いつかない今、問われているのは「企業の倫理」と「消費者の目利き力」ではないかと思います。

世界中どこからでも化粧品を買える、そんな便利さの裏で、今、日本国内の法律だけではカバーしきれない領域が広がっています。また、ネットの世界では言いたい放題の広告も見かけます。だからこそ、今の時代に必要なのは、2つの力だと私は思います。

①企業の「倫理観」
「法律さえ守っていれば何を言ってもいい」という姿勢ではなく、

「その表現は本当に正確か?」
「消費者に誤解を与えないか?」
「トラブルが起きたときに責任が取れる体制があるか?」

こうした視点で広告販売をし、誠実にコスメをお客様にお届けすること。そんな倫理あるものづくりが、これからの時代にこそ問われているのではないかと思います。

②消費者の「選ぶ力」
そして、もうひとつは、私たち消費者自身の目利き力です。パッと見の広告や値段の安さ、魅力的なパッケージデザインだけに流されるのではなく、

「なぜ、そこまでの効果がうたえるのか?」
「どの国で、どんな法律のもとで作られているのか?」

という視点を持つことで、自分のお肌の未来を守ることにつながると私は思います。

【fromCO2の取り組み:見えない部分こそ、誠実に】
私は、そうした「見えにくい部分の誠実さ」こそが、信頼できる化粧品の証だと思っています。私が代表をつとめるブランド、fromCO2では、研究開発から製造、お客様の手に届くまで、すべて自社で責任を持って行っています。

しかも、1回の製造のあいだに7回の外観検査を、すべて人の目と手で行っています。 白い手袋をつけ、1本1本、まるで贈り物を包むように心を込めて製造しています。

さらに、炭酸という非常にデリケートな成分を、どうやって肌に一番いいかたちで届けるか?その一点を見つめて、日々、地道に、コツコツと研究開発を30年近く重ねてきています。

目立たないけれど、私たちが一番大切にしているのは「透明性」と「責任の所在」だと、誇りをもって言えます。

【信頼のうえにしか、美しさは育ちません】
本当に信頼できる化粧品とは、成分や製造だけでなく、表示・広告まで、すべてに正直であることだと私は思います。
目立つ言葉やイメージの演出ではなく、目立たなくても確かな“本物”としてお客様が喜んでくれる化粧品です。

海外の化粧品の仕事をしてきたからこそ、わかることですが、日本の化粧品には、派手さよりも誠実さを大切にする文化があるなぁと感じます。だからその中には、目には見えない「良心」が詰まっているんですよね。

私は、そんな真面目なものづくりが、きちんと評価される未来を、あきらめたくありません。美しさは、信頼のうえにしか育たないと思います。そして、その信頼は、誠実な作り手と、消費者の正しい選択から生まれるものだと、私は強く、強く信じています。

メールマガジン バックナンバー

過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています。

メルマガを購読する