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3月11日
皆様、お疲れ様です。
最近は暖かくなる日が増えてきて春の足音も近づいてきましたね。
毎日の雪かきから解放されて1日の疲れ方がいくらか和らいでおります。
さて、本日3月11日は2011年に東日本大震災が発生した日であります。
もう12年も経ったんですね。
実は私も震災当時、岩手県陸前高田市の整骨院で実習に励んでおりました。
2006年3月に柔道整復師国家試験に合格した私は翌月4月から陸前高田市の整骨院でお世話になっておりました。
朝は7時頃には整骨院に出向いて働き、整骨院の敷地に院長の所有する柔道場がありましたので週に3、4回地域の小学生から高校生と一緒に稽古し指導をする日々を送っておりました。
稽古のある日は帰宅が早くても午後10時は過ぎるので今思うとなかなかハードな生活でしたね(日曜も稽古してましたし)。
陸前高田市は岩手県の沿岸、宮城県との県境に位置しており海産物や野菜、果物も美味しく自然の恵みに恵まれ豊かな街でありました。
漁師さんや農家さんの患者さんもおりましたので季節になるとリンゴや桃、サンマ、ウニ、牡蠣などもいただいたりもしておりました。
大変ながらも充実した毎日を送っておりましたがそんな日常が一変します。
2011年3月11日午後2時46分、整骨院にて業務中でしたがドーンという地響きの後、経験したことのない揺れに襲われました。
私は立っているのがやっとでしたが患者さんに整骨院の機材が倒れたら大変だと思い倒れないように必死に押さえておりました。
揺れが収まりいつもひょうきんな漁師の方がいたのですが「津波が来るぞ!」と一目散に戻られ他の患者さんも安全を確保したのちに帰宅もしくは避難されて行きました。
その後私たち従業員は院長の自宅に向かったのですが地震によりひび割れた道路、亀裂の入った建物、そしてなんとも言えない気持ち悪いどんよりとした空気があちこちに漂っておりました。
院長の自宅の片付けをおこなったのち外でみんなで立っていたのですが、海側の方から走ってきた女性に「津波が来てるから高台へ逃げた方がいいですよ!!」と言われ心の中では高い防波堤もあるし海岸から1kmくらい離れてるしここまでこないでしょと思いながら高台へと歩いていると、後ろの方からバキバキと木が折れるような音が聞こえ振り返ると家の高さほどの砂煙のような感じで津波が押し寄せてきました。
さすがにヤバいと思い一心不乱に高台へと続く階段を駆け上がりました。
高台へのぼりいつもならそこから陸前高田の街並みから海が一望できるのですが水しぶきにより辺り一面霧がかっていて街並みが見えません。
ようやく霧が収まって街並みを見渡しますと見慣れた風景が一変して愕然としました。
市役所やスーパーのような大きい建物の屋上以外をほぼ飲み込んだ津波の風景。
5年間慣れ親しんだあの風景が津波により崩れ去りました。
高台には私の他にも数十人の方が避難しておりましたが
泣き崩れる人
呆然と立ち尽くす人
びしょ濡れで震えてる人
と様々な方がおりましたが雪も舞う寒い日だったのでそこから横幅が一人分くらいの細い道を通り避難場所へと向かいました。
私はその中でも若手でしたので、一緒に実習に来ていた先生と避難の方を誘導したり道を何回か戻って高齢者の方の手助けなどをした後に院長が別荘を所有しておりましたので従業員一同でそこへ避難させていただきました。
避難先で炊き出しなどをいただき5日過ごしておりましたが院長から「ここはしばらく普通の生活ができないしみんなには帰る実家があるのだから大変だけどヒッチハイクをして実家に戻りなさい。」ということで人生初でしたが心温かい方々に乗せていただき、7台乗り継いで盛岡へと到着し夜には父に迎えに来てもらいました。
車の中で「生きててよかった。」と頭を撫でられたことは今でも鮮明に覚えております。
私は帰る家と迎えてくれる家族がいたため自分では被災者とは思っておりませんが
津波で亡くなられた方々
家族や友人を亡くした方々
のことを想うと今でも胸が締め付けられます。
毎年一回は陸前高田市にお邪魔させていただいておりますが形を変えてかつての活気は少しづつ戻っているような気がします。
お世話になった院長も一昨年病気で亡くなられてしまったのですが、生前に私の結婚式に出席することを楽しみにしていると会えばいつも言われておりました。
生前には叶わなかったものの、昨年結婚した私は妻と一緒に院長の奥さんの元へお邪魔させていただき前撮りの写真を見ていただいた際は大変喜んでいただき、院長にも報告ができました。
取り止めもない長い文章になってしまいましたが、津波が来ない場所でも自然災害はいつ訪れるかも分かりません。
何かあった際は大丈夫と思わず、ことがしっかりと治まるまで安全を確保してくださいね。
そして素早く逃げれるように体は鍛えておきましょう!
最後までご覧いただきありがとうございます。
横山整骨院 横山優士